百六拾八


悟空相手に三蔵は睨み合う


横には悟空にやられ グッタリと倒れ込む紅孩児の姿



また球体の下には未だ
愕然と座り込む惷香の姿があった



焔はチラリと惷香を見ると

不適に笑った…




静かに焔は惷香に近寄り三蔵と悟空が睨み合う内に


焔は惷香を謁見の間から連れ出した……





焔が向かった先は球体の中



悟空が作り出した








―――新天地









真っ暗な足元から花畑が広がり



真っ暗な空が水色の青空に変わった





どんなに世界が変わっても

呆然としたままの惷香は

動く事はなかった









「夕惷…
この世界で2人で生きてゆこう
たった2人で
何にも縛られず何にも捕らわれずに毎日笑って暮らすんだ
お前が初めて…俺を人として見た人なのだから…」











焔は昔を思い出しているかの様な表情で惷香の頬を手で包んだ








「お前だけを…お前と暮らす為だけに俺はここまで来た
もう金蝉には…渡さん!」








焔は惷香を強く抱き締めた






身体がギュッと拘束され
惷香はビクッと身体が揺れた









「…だ…」


「夕惷?!」


「…やだ…」


「おい どうした!?」


「やだぁぁぁ!!」








惷香は焔を突き飛ばした









.

[ 188/201 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[栞挟]
書物一覧に戻る



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -