百六拾七


「ぐっ…!」









ヨロヨロと立ち上がる紫鴛に
八戒は寂しそうな顔を向ける









「すみません…僕に言う立場などないと言うのに…」


「何故…」


「卑怯者だなんて…
思ってもいません
ですが勝てないと思ったので僕の方が…卑怯者です」









紫鴛はフッと笑い

腹部からの血がボタボタッと
絨毯を赤く染め上げた








「紫鴛!!」


「私は…まんまと引っかかった
と言う訳ですね…
私の負けです」


「まさか…紫鴛!!」








ゆっくりと紫鴛の身体が宙に浮き上がり


紫色の光が身体を纏い始めた









「焔…すみません
直ぐに行くと言いましたが
私はもう行けそうにありません
是音…焔を頼みます」


「辞めろ!!紫鴛!!」








是音を制止も聞かず
ゆっくりと浮かび上がった紫鴛の身体を纏う光が更に強まる








「最後にアナタと戦えて
良かった…」


















ドカ―――ン…









塔全体が揺れ動き
紫鴛は爆発し





消えた





爆発の衝撃をまともにくらったジープはバサリと床に落ち

膝から崩れ落ちた八戒を


後ろから悟浄が支え起こす








「なんて…事を…」








呆然とする八戒に
是音は口を開いた









「あれがアイツだった…
だが俺はそうは行かねェ!」








是音は眼帯をグイッと外すと
悲鳴にも似た声を上げ


見る見るうちに爪は伸び始め








「さぁ 始めようかぁ?」








ニヤリと笑う是音の口には牙が生え

そして眼帯のあった目は
飛び出る程見開き

黄色に光っていた







.


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