百六拾弐


「ッつ!?
やッ!離して!!」


「離しはしない!
俺はお前だけを…ずっと
夕惷だけを想って500年と言う歳月をあの腐った天界で過ごして来た!
お前が戻ると信じて…!
だがお前は戻らなかった…
挙げ句地上で再びあの金蝉と共に過ごし共に誓うなど…
許せはしない…!!」








焔の言葉があまりにも





重かった―――






【500年間】




想像も出来ない長い年月


この人はこの腕の枷の様に



繋がれていたのだ




















夕惷への想いに…










「私は…私は夕惷じゃない!
私は惷香なの!!
私が愛するのも三蔵しかいない
アナタじゃない!
離して!
三蔵ッ!三ぞ――――…ん!」








叫ぶ惷香の唇を焔は自分の唇で塞いだ








「焔ぁぁぁぁぁっ!!」










涙を流しながら見た視線の先に


銃口を向けた三蔵と紅孩児が立っていた



惷香は焔の唇をカリッと噛むと
軽く顔が歪み唇が解放された








「酷いな…
だが可愛い猫のじゃれつきだ
許そう」


「触らないで!!」








ボロボロと流れる大粒の涙


惷香は勢い良く唇を擦った



焔の血なのか自分が擦って出た血なのかも分からない程に…








「辞めろ!」









三蔵が制止するが惷香はガタガタと震え耳にも入らない








「夕惷…
こっちに…はッ…!!」








気が付くと球体が動きが停止している



球体の下を見ると
ニヤリと笑う斉天大聖の姿があった



斉天大聖は勢い良く一番近くにいた焔を吹き飛ばし
壁に投げつけた




そして斉天大聖は惷香を見て再びニヤリと笑った――







.

[ 181/201 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[栞挟]
書物一覧に戻る



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -