百五拾七


見開く目の前には









「か…母さん…」









悟浄はガタガタと震え
後退りをした…


























混沌の塔の外に4つの影があった事は誰もまだ気付かなかった頃


惷香はどうにか部屋から出ようとしていた








「鍵穴に金糸を通せば開くだろうか…」








指先からシュルリと金糸を出し
ドアの隙間から鍵穴へと入り込ませた









カチャカチャ…









なかなか見えない場所に入れ
操作するのは難しい


だが1人ただ待つのも耐えられずに集中して鍵穴に金糸を通す








ガチャン――…






鍵が開いた









「よしっ!」









疲労感を感じながらも
惷香は部屋を飛び出した
















「随分と静かだな」


「さっきから敵も出ねぇし」








三蔵と悟空は歩きながら
左右を見渡す









「だがこの状況を考えろ」









悟空は腕を組んで考える








「分かんねえ!」


「聞いた俺が馬鹿だった…
いいかこの状況
雑魚が出ないと言う事は
雑魚が入れない領域って事だ
従って…」









三蔵は大きな扉を蹴り開けた








「ゴールが近いって事だ!」


「焔!!」









焔を真ん中に左右には是音
紫鴛が立ちはだかった








「よくここまで辿り着いた
褒めてやろう」


「ここで落とし物を預かっていると聞いてな」


「魔天経文の事か?
それとも夕惷…いや
惷香の事か?」


「両方だ」


「魔天経文は返して欲しくば返してやろう
だが孫悟空と交換だ」


「は?」


「惷香は返さないとでも言うつもりか」


「惷香は返す事は出来ない
俺は惷香と共に新世界を歩むのだから」







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