百五拾四


「キリがねェよ!」








塔に入り
焔の配下が呼んだ何百もの妖怪を倒したのだが


傷は悉く塞がり
生き返るばかりで倒しても倒してもキリがなかった


三蔵一行は妖怪に周りを囲まれ
互いの背中を守る様に
外向きに臨戦態勢で円になる








「こんなトリックがあるとは」


「ちっ!」









先に早く進みたいのだが
進む事が出来ずに苛々が募る








カシャリ――……









リロードを済ませ銃が音を鳴らす








「僕いい事思い付いちゃいました」









八戒はにっこりと微笑んだ








「言ってみろ」


「僕が残って皆さんは先に進むんです」







あははっ
と八戒は笑う









「なっ…?!」


「そりゃまた…」


「いい考えだ」









驚く悟空と悟浄を余所に
三蔵は銃をしまった








「三蔵っ!?
本気かよ!」


「行くぞ」


「すぐ追い付きます」








三蔵は悟空の頭を抑えたまま
階段へと上がる









「あ、悟浄」









八戒は悟浄だけを呼び止めた








「あん?」


「ジープお願いします
間違って殺しちゃったら大変ですからね」








にっこり笑いながら悟浄にジープを飛ばす


心配そうにジープも








「キュ〜…」









と鳴く









「大丈夫ですよ
すぐ行きますからね」








八戒を1人残し
3人は階段を登った








「さて…と
覚悟して下さいね
手加減は…出来ませんよ」


「たった1人で何が出来る?」








余裕な笑顔な敵を目の前で

八戒は耳の制御装置に手を掛け


ピッと外し カシャリと床に跳ね落ちた…






.

[ 173/201 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[栞挟]
書物一覧に戻る



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -