百五拾弐


惷香の部屋に焔が訪ねて来る事はなかった




紫鴛がお茶や食事を運び
たまにボソボソっと会話をする程度


全く意図が読めない


何故私をこんな部屋に閉じ込めたまま
本人は何も行動しないのか


不安を余所に着々と焔は動いていたのだが





惷香はそれに気付く事はなかった

















ブロロロロロ…









ジープが岩場の多い暗闇へと走っていたのは同じ頃




銃に弾を込め
カシャリ――…と音を鳴らす三蔵


運転をしながらも真正面に遠くからも見える登城を睨む八戒


タバコをくわえながらも火を着けずにライターの蓋を開け閉めを繰り返す悟浄


握り拳に力を込めて願いをも込める悟空を乗せ


ジープは焔の居城
混沌の塔へと辿り着いた








「ここか」









悟浄は塔を見上げピューと口笛を鳴らした








「混乱の塔…
間違いない様ですよ」


「あそこにアイツらがいるんだよなッ!」








伏せた目を三蔵はカッと開く









「行くぞ!」









ジープはタイヤを鳴らしながら混乱の塔へと突き進んだ






















「来たか…」









謁見の間の玉座で1人
焔は呟いた







.

[ 170/201 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[栞挟]
書物一覧に戻る



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -