百五拾


ベッドの上で腹部の鈍い痛みでフッと目を覚ます


ガバッと起き上がると
左右を見渡し自分がどこにいるのか
ここがどこなのか

思考を巡らせる










確か紫鴛に…










慌ててベッドから這い出てドアを回すが鍵が掛かっている


ならば窓


と外を見るが
ゴクリと息を飲む程の高さ









さて…どうしたものかなぁ










そんな時ドアを叩く音がした




カチャカチャと鍵が開く音の後
紫鴛が部屋に入って来た








「起きられましたか」


「…ここはどこ?」


「腹部は痛みませんか?
ここは混乱の塔
焔の登城です」


「私をどうするつもり?」


「それは焔に聞かないと分かりかねます
ただ危害を加える事はないと思いますよ」








クスリと笑い紫鴛は持って来たティーセットをテーブルにコトリと置く








「さぁ
起きたばかりで喉が渇いた事でしょう」








トポトポとカップに注がれた紅茶は優しい香りを漂わせる









「さぁ どうぞ」









紫鴛は湯気の立ったカップをテーブルにカチャカチャと置く


窓辺に立ち尽くしたまま
惷香は紫鴛を睨んでいた








「貴女は昔の記憶がありながら何故焔を覚えていないのでしょうね…」








ポツリ呟く紫鴛は
どこか昔を思い出している様子だった






.

[ 168/201 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[栞挟]
書物一覧に戻る



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -