百四拾四


丘近くにある河原で
惷香は1人川の流れを見ていた








「明日…」









ポツリ呟く



もし…負けてしまったら

私は彼らに捕らえられてしまうのだろうか






もし負けてしまったら…




三蔵達と一緒にいる事は出来なくなってしまう…
















頭を抱える









「またくだらねぇ事
1人で考えてんじゃねぇぞ」








背後から聞き慣れた声がした








「三蔵…」


「泣いてたんじゃねぇのか」








川沿いの木に持たれ掛かり
三蔵はタバコに火を着ける








「泣かないよ…」









惷香はグッと顔を上げる








「神だが何だか知らねェが
お前を奪うヤツは許さねェ」








三蔵はタバコの煙を吐き出した



振り返ると三蔵と目が合う








「バカ面してンじゃねェ
アホかてめぇは」









言葉が出ない



三蔵はタバコを消すと惷香にゆっくりと近寄る



惷香の頭に手を乗せ

目を合わせる









「お前は俺達が守る」


「う…ん」


「お前は渡さない」


「う…ん」










「お前は俺の女だ
…離れんじゃねぇ」


「ッつ…!
うん…うん…!」









三蔵は惷香の頭を抱き寄せる








「俺達を…俺を信じろ」


「うん…」









惷香に三蔵はゆっくりと口付けをした…














丘では
焔が町を見下ろしたまま


静かに夜は明けて行った







.


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