百参拾九
新しい町では前回通った町同様にお祭り騒ぎだった
通りには露天商が軒を連ね
甘い匂いや香ばしい香りが鼻を擽る
「なぁなぁ!
何食う!?
アレうっまそー!」
昼間の魚だけでは足りず
すでに空腹な悟空は右往左往と露天商を見て回る
「おい
少しは大人しく出来ねぇのか
貴様はッ!」
「今日はハリセンはないんですね」
「突っ込む気も起きねーよ」
「そんな怒ってばかりいては
お肌が荒れちゃいますよ?」
三蔵は懐に手を入れたまま
不機嫌そうな顔をする
ザワザワ―――…
町行く人達を掻き分けて
空気が変わった…
「てめぇ…」
悟浄の取り巻く空気が
ピリッと張り巡らせた
「おっと
こんな町中で騒いだら…
分かんだろ?
まぁ俺達は別に構いやしねぇがな」
提灯の灯りで3人の顔が
笑っているのが照らされた
焔 是音 紫鴛―……
惷香はビクッと身体が揺れた
八戒は そんな惷香に気付き
サッ…と惷香の前に立つ
「今日は何の用だ」
「偶然って訳でもなさそうですね」
「最後忠告に来た
魔天経文と惷香を渡せ
さもなくば…」
「何だ」
「実力で奪うだけだ」
「その気になったって訳か」
「じゃ早くやろうぜ!
今までの借りまとめて返してやるからよッ!」
「明日の朝まで待つ…」
「なッ…?!」
「おいおい…またかよ」
「それまでに答えを決めろ
惷香も
気持ちの整理をするんだな」
「ッつ―…!!」
.
[ 156/201 ][*prev] [next#]
[目次]
[栞挟]
書物一覧に戻る