百参拾六


「はぁ…はぁ…」









妖怪から奪った高い登城

その薄暗い謁見の間の玉座で焔は深く座り冷や汗を流しながら苦痛そうに肩で息をする








「はーっ…はぁ…」








背もたれにドサリと寄りかかり顔を上に向けた








「ふぅ…
俺には…時間がない…」








暗い謁見の間で焔は1人
深く息をする―――













三蔵一行が着いた新しい町は妖怪に襲われていた








「ったくどうなってんだァ?」


「妖怪バーゲンって所ですね」


「妖怪だろーが神様だろーが
ぶっ潰ーす!!」









焔に負けて以来
悟空は力を付けメキメキと強くなって行った


だが何故か腑に落ちない


何故焔は悟空に
『強くなれ』と言うのか


何故魔天経文が必要なのか


何故惷香に執着するのか



三蔵一行は不穏な空気のまま
西へ西へと進むしかなかった






ジープで移動中
昼食などを兼ねて広い草原に止まり近くの河原で釣りをする事にした




川下では悟空と悟浄が下着姿で泳ぎながら魚を捕まえる



2人があまりにも騒ぐものだから八戒と三蔵と惷香で川上へと移動して
のんびりと釣りを始めた



ぼんやりと釣り竿を見て
焔が言っていた事を思い出す






「俺は…俺は天界でお前だけを見て来た
だがお前は金禪を選び
お前は天界から姿を消した…
俺はお前だけを探した
やっと見つけ出した時でさえ
お前はまた金禪を選んだと言うのかっ!」


「何故だ…
何故お前は俺を見ないっ…
俺はお前の為ならば天界すら見捨てる覚悟はあると言うのにっ…!」



「俺の望みは止まらない
必ず…必ず魔天経文を奪い…

お前を奪う。」








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