百参拾参


「やめッ……!」


「何故だ…
何故お前は俺を見ないっ…
俺はお前の為ならば天界すら見捨てる覚悟はあると言うのにっ…!」











なにを…言っているの…?





私は焔には会った事なんて




前世でもなかった筈…








戸惑い
惷香は動けずにいる








ドォ―…ン









空に大輪の花火が上がる








「やめ…て…!」









花火にハッ…として惷香は焔を突き飛ばす


俯き黙る焔に惷香は息絶え絶えに見下ろす








「俺の望みは止まらない
必ず…必ず魔天経文を奪い…」








焔はスゥッと顔を上げ
惷香に視線を向けた








「お前を奪う。」









ドォ―…ン






花火の明かりが焔の顔を照らし出す








「―――ッつ!!」








惷香は息を飲む









「お前に渡す物は何1つねぇんだよ
このクソ野郎」









惷香の背後から聞き慣れた声と共に カチャリと無機質な音がした



ゆっくり振り返ると三蔵が焔に向け銃口を向けていた








「三蔵ッ――!!」


「何1人でフラフラしてやがる
さっさと行くぞ」


「金禪…」









焔を取り巻く空気が殺気立った

三蔵は惷香を自分の隣に呼ぶと銃をしまった








「コイツに近寄るな」








三蔵は紫色の瞳で焔を捉え
殺気立った空気をもはねのける







.


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