百弐拾八


葬儀屋が消えてから三蔵一行は町の中を見て回った





民家は元より
食材屋や日用品を販売する店までも

人おろか【生き物】は何1つ無かった


あちこち見て回った後
1件の酒場へと赴いた






三蔵と悟浄は店内のビリヤードを始めた

悟空は食材のない町にすでに言葉を発する事すら投げ出し


カウンターに顎を乗せたまま









「なぁもう違う町に行こうよ」









の一点張りだった


八戒と惷香はカウンターの椅子に座り
カウンターテーブルに背を向けて葬儀屋について相談を始めた








「なぁ気付いてっか?
この町にゃほれ
酒がねぇんだよ」









悟浄はチラリとカウンター奥の棚を見た後

玉を打つ








カコーーーン…









酒場に玉の弾く音だけが響く








「ご丁寧なこった」








三蔵はスゥッと体制を前屈みにすると一気に玉を打つ








カコーーーン…









「さっき町の入り口の反対側に四角い箱が5つあったんだけど」








惷香は2人のビリヤードをやる姿を見ながらぼそりと呟いた









「棺桶…
って所でしょうか」








八戒はいつもの笑顔で答える

どうやら葬儀屋はご丁寧にも
5人の棺桶まで用意している


そして執拗する程の町への美化








「ふん
嫌がらせが得意なのは
アイツだけじゃねェんだよ」









カコーーーン…









9ボールはポケットに吸い込まれた







.

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