百弐拾壱
「天界での記憶は全て失ったか金禪…」
ハッと八戒は観世音菩薩が三蔵に言った名前を思い出す…
【金禪童子】――
「ああっ!
アイツの右目俺と同じ金色だ」
悟空は驚きながら声を上げた
「そう…古来より金色の眼を持つ者は吉凶の源とされていた
即ち異端の者と言う訳だ
俺もお前も…孫悟空」
「ごちゃごちゃ言ってっけど
あんた一体何者よ」
不機嫌そうな三蔵を余所に
悟浄は彼に尋ねる
「俺は 焔
闘神焔太子」
「闘神…っ!?」
「あんたまで俺を忘れているとはな…
捲簾大将」
「な…に!?捲簾だぁ?!」
「あなたは観世音菩薩の関係者なのですか?」
「ほぅ観世音菩薩の事は覚えているのか…
天蓬元帥」
不適な笑みを零す焔に
三蔵一行は思考も動きも止まる
「焔!
早く本題に入れやっ!」
後ろの酒場から先程の隻眼の男が声を荒げる
「そうだな…
金禪お前の持つ魔天経文を渡して貰おう」
「願い下げだ」
「死ぬぞ」
「ふんっ
やってみろ」
「そう言うと思ってたよ」
焔はオレンジに光る長刀を何処からともなく出し
三蔵に斬り掛かった――
ガキ――…ン
三蔵は銃で刀を防ぐ
「くっ…!」
「はええっ…」
「三蔵っ!」
悟空が三蔵へと駆け寄った瞬間一瞬にして
先程の優男に道を阻まれた
「なっ…?!」
「手出しは無用です」
気配も感じさせず移動して来た優男に
悟空ですら息を呑んだ
「おっと
お前らもだぜ」
隻眼の男は銃を片手に悟浄 八戒 惷香の前を塞いだ
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