百拾七


「さっきのは気にするな…
お前が悪いんじゃない」








罰が悪そうな顔をする








「三蔵…?」


「まぁ俺が勝手に…
お前は悪くねぇって言ってんだよ
だからもう気を使うな」








そう言うと三蔵は惷香の頭をポンッと手で覆う

三蔵の顔を見上げるといつもの顔で少し困った様な
そんな顔でフッと笑った








「うん」









と惷香もホッとして笑みが零れた



その様子を八戒が廊下の曲がり角から畳み終えた洗濯物を持ちながら見ていた









「これでは部屋には戻れませんねぇ」









溜息交じりに八戒は曲がり角の先で壁に寄り掛る

外では2人のふざけ合う声が響いていた








「所で何で三蔵は不機嫌だったの?」


「…さぁな」


「教えて?」


「うるせぇ」









三蔵はそう言うと惷香の頭をグシャグシャと髪を掻き交ぜた








「あ、ちょっと!!」


「もういいんだよ
俺が離さなければいいだけだ」


「え?何?
聞こえなかった」


「何でもねぇって言ってんだろうがっ!」


「ちょ、三蔵っ」









スタスタと三蔵は歩き出した








「おい」









三蔵は右手を後ろ向きのまま手を惷香に差し出した



惷香は頬を紅潮させ三蔵の手を握り廊下から立ち去った


その様子を見た八戒は立ち去ったのを曲がり角から確認すると
ホッと部屋へと戻る

部屋で洗濯物を整理しながらクスッと笑う








「ヤキモチとは
三蔵も可愛い所があるじゃないですか」








そう呟いたのだった





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