百拾五


意識が戻る時に三蔵に
【置いていかないで】

と懇願した

そして
【貴方も………私を置いて行ったでしょ…
貴方も………
私は必要にされていな…】



その事を八戒は聞くと顎に手を当て考えた








「それってまさか…」


「え?」


「貴方も…とは違う方は…【金禪童子】ですね?」


「な、何でその名前を!」








惷香はガタリと立ち上がるとテーブルの上でマグカップが倒れ紅茶が広がった


惷香は慌てて紅茶を布巾で拭きながら小声で謝った








「やはり…
いえ、以前観世音菩薩が言っていた名前なんですが悟空も惷香が呟いていたと言っていましたから」


「あ…」


「その【金禪童子】について聞くつもりはありませんが
もしかしたら三蔵はその【金禪童子】に…」


「彼に…?」









惷香は八戒に視線を向けながら再び座りテーブルを丁寧に拭いた

八戒は顎から手を離すとニコリと笑い








「まぁ惷香は気にしなくても大丈夫だと思いますよ?
ほんっとーに下らない理由だと思いますし
しかも三蔵の目の前で惷香にカミサマがしたのも効いているんでしょうね
あははははー」








八戒は人差し指を立ててニコニコと笑う







「え?それどうゆう…?」


「なるほど〜
三蔵がそこまで…
惷香」









キリッと真顔になる八戒にビクッとなり姿勢を正す








「は、はいっ」


「頑張って下さいね」


「え?え?え?」


「そうですか〜
三蔵がねー」









そう言いながら八戒はそのまま部屋から出て行ってしまった

意味も分からず混乱したままの惷香を残して…








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