百五
惷香の座るベンチの後ろから近寄り
「わっ!!」
と悟空は脅かしてみる
が、相も変わらず反応もせずに惷香はボンヤリと空を眺めたままだった
あはは と頭を掻いて惷香の隣に座ると
悟空はチラチラ見ながら話し掛けた
「なぁ…惷香
俺達置いて行った訳じゃなかったんだけどさ……
あの…ごめんなッ
俺達いや、俺気付かない内に惷香を傷付けちまってたかもしんないし…」
悟空は俯きながら足を広げて座り
手をもじもじとさせながら惷香に話をする
「ホラ…俺バカだしさ
こんなんだけど惷香は大切に思ってるしッ!
だから…だからさっ
前みたいに笑ってくんないかな…」
悟空は惷香に視線を向けた
だが惷香は何1つ反応もせずに
ただそこにいた――
悟空は最後にまた
ごめんな
と謝ると惷香から離れた
悟空の声は惷香には
届かなかった――
.
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