百
神様と一戦後
三蔵一行は近くの町にある宿屋を借りて療養する事にした
しかし
身体は良くなっても惷香は変わらずボンヤリと違う景色を見ている様子だった
その日は雲1つない晴天で
惷香は宿屋の裏手の庭のベンチにただ座っていた
その様子を部屋の窓から八戒と三蔵が見て話をしていた
「一体彼女は神様に何を言われたのでしょうか…」
「さぁな」
「神様は“壊れちゃった”と言っていましたが
心が壊れる程…」
「悟空が言っていたが
あの女が自分で
また置いて行かれたと言っていたらしいな
そして知らない名前を呟いたらしい
聞こえなかったらしいがな」
三蔵は眉間の皺をより一層深くすると
タバコに火を着け椅子の背もたれに寄りかかった
「名前……ですか」
「何か思い当たるのか?」
「あ、いえ…全く」
「チッ
面倒くせぇな」
三蔵は着けて間もないタバコをギリッと灰皿に押し付けた
その時買い物を終えた悟浄が戻り
外で稽古をしていた悟空も戻った
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