九拾八


「…何で!?
何で今バリアも張らずに攻撃やめたの!?」


「…いいんです
もう済みましたから」


「え」









倒れる八戒の奥で
神様に銃口を向ける金糸の男








「…仲間を
盾に……?」








神様は床に倒れた









「『無一物』
という言葉がある」








三蔵は銃に弾を新たしく込めながら言う








「師が俺に残した言葉だ
何物にも捕らわれずに生きろ と
だが全てを捨てて生きる事が正しいのか
俺は俺なりの解釈でここまできたつもりだったが…むしろ
俺が何よりも捕らわれていたのは
『無一物』という言葉そのものだったんだ
迷いはない
俺には俺の生き方が
玄奘三蔵の称える
『無一物』がある」








カシャ―…ン









銃に弾が込められた音だけが響いた









「わかんない
わかんないよそんなの
俺には何もないのにッ
君は色んな物
持ってるじゃんか
あんなに沢山」









フラフラな悟空 悟浄 八戒は起き上がると惷香を探し始めた







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