九拾参
「泣かないで?
別に無理矢理何かしようってんじゃないんだからさ
女の子には優しくしなきゃいけないって先生が言ってたんだ
ゆっくり僕のモノになってね惷香ちゃん」
顔を背けた惷香の頬を指でそっと撫でると
神様はどこかへといなくなった
「っはぁはぁ…」
涙と吐き気で気分が悪い
本当に私は彼等に置いて行かれたの…?
500年前と同じ
また
あの時と同じ
それから神様は毎日部屋に来ては
【置いて行かれた】
【僕がいる】
【僕のモノだよ】
と暗示の様に惷香に囁く日が続いた
精神的な衰弱と
体力の衰弱から起き上がる事も
会話する事も出来ずに
人形の上でただ天上を見上げる事しか出来ない惷香に
神様の声は暗示の如く心を蝕んだ
それは深く深く
黒く染まった―
.
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