九拾弐


「う…そ…」









神様はフワリと浮かび
惷香の近くに来ると耳元で囁いた









「君
見捨てられたね
かわいそぉに」


「ッ―――!」









惷香は咄嗟に神様に向かい拳を振り上げたが
血が足りなく眩暈が襲う
そのまま床に顔からドサリと倒れ込む









「あははははっ
無駄だよ?
君も彼らも僕には勝てないんだから」









うつ伏せになり悔しくて人形を強く握り締める



神様はそのまま惷香の背中から耳元に顔を近づけ
クスクス笑う









「君はまた置いていかれたんだね
寂しいでしょ?哀しいでしょ?
もう我慢しなくていいよ
僕がいるからね」









惷香の顔に神様の髪がふわりと掛かる


声も髪も神様も払うかの様に腕を振り上げる








パシッ









「無駄だって言ったじゃない」









腕を掴まれ
そのまま仰向けに押し倒される



金色の長い髪の間から神様の不適な笑みが憎悪と孤独を掻きたてられる









「い…や…」


「君はもう僕のだよ
やっと僕の【モノ】が手に入ったんだ」


「いやああああ!!!」







.


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