九拾壱


「…ねぇ『先生』
経文手に入れたし
【あの子】も手に入れたよ?
――どうして貴方は経文だけ
『俺』にくれなかったのかなぁ…」













惷香が気付いた時には
回りには人形だらけの部屋で放置されていた









「くぅッ…あッ……」








腕や脇
肩と太股には受けた傷がまだ癒えずに血がジワリと出ては
周りの人形を赤く染め上げた




体温が下がっているのが分かる
血が出過ぎた…


さすがに自分を治癒するには力が足りない…
とりあえず止血しなければ――








どれくらい時間が経ったのか
皆はどこに行ったのだろう


全く分からない…






部屋を見渡すと壁には大きなステンドグラスがいくつも並んでいる



床には一面様々な人形










気味がワルイ









止血が終わり仰向けに倒れ込む









「……ッはぁはぁ…」


「無理しちゃいけないよ〜?」


「ッ!?」









ガバッと起き上がり 振り返ると神様が立っていた








「君は特別
僕の『おもちゃ箱』にようこそ
惷香ちゃん」









くすくす笑う神様に憎悪を覚える








「4人はどうしたの?!」


「逃げたよ?
君を置いてね」


「……っ嘘ッ!」


「嘘じゃないよ〜
君は置いて行かれたの」






.

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