とりあえず先程木暮君が白状してくれたおかげで明王くんがあと数日で元の姿に戻ることを知った私達。
明王くんも呆れながら安心しているようだ。

しばらく河原で話をして帰ることに。
行きのように私がサッカーボールを持って明王くんと帰り道を歩く。
午後四時くらい。
今日の夕飯は何にしよう。とりあえずスーパーにでも寄ろうか。
「明王くん。私これからスーパー行くけど、どうする?」
一人で帰るかと聞くと、悪いから俺も行くとのこと。
何が悪いの、と思いながらそれはそれで楽しいから、じゃあ行こうかと手を差し伸べるが
「ガキじゃねんだよ」
と、照れながらそっぽを向いた。
「傍からみて今の明王くんを子供じやないと思う方がおかしいよ」
言うとだまれよ、とちろっと睨む。あんまり迫力ないよなんて言ったらまた怒らせちゃうからお望み通りちょっとだけ黙ってあげた。

スーパーで買い物を済ませると、重たい袋をよこせと手を伸ばしてきた明王くん。
「結構重いよ?」
持たせると、やはりぐぬぬ、と顔を真っ赤にして必死に持っている。
苦笑いして、明王くんはサッカーボール持っててくれればいいよと言うと明王くんはバツが悪そうな顔をして、また一言
「悪いな、」
だから、いいのに。何も悪くないのに。
眉を下げながら明王くんの頭のてっぺんを見た。

スーパーを出るといきなり声をかけられた。
「苗字さん。」
聞きなれたその声は基山ヒロトだった。
「あ、ヒロトくん。」
やっほう、と手を振る私にヒロトくんが駆け寄ってくる。
「奇遇だね。…この子は?」
もちろん、ヒロトくんが疑問をもったのは明王くんのことだ。
明王くんはぎくりと肩を跳ねさせて顔を背ける。
「えっと、この子は…」
正直に明王くんと暴露してもよかったのだが、それ以外の説明をすると思うとなんだかめんどくさくてどう答えるか迷っていると
「不動君にそっくり…ていうか、本人にしか見えないね…」
目を丸くしてヒロトくんが明王くんの顔を覗き見る。
「う、うるせえ、さっさと帰れよっ」
明王くんが顔を真っ赤にしてヒロトくんに言う。
「もしかして、本当に不動君なんじゃないの?」
なんだか、あの日木暮君が不動君のジュースに怪しいものを〜のあたりで
うまい言い訳を考えられず、私達は素直にことのいきさつを話した。


「それは、…不動君災難だったね」
「ホントだよ」
腕を組みながらしかめっ面。
「それで、苗字さんは引き続き不動君のいる寮で過ごすのかい?」
「まあ、明王くんが戻るまでそうゆうことになるね」
気恥ずかしさを感じながら頷く。
「男子寮だから心配だけど、不動君がいるから大丈夫だよね」
爽やかにそう言ってのけるヒロトくんがとても眩しい。
「まあ、だけど不動君も男だからなあ」
ハハハと笑うヒロトくんに明王くんが顔を真っ赤にしてつっかかる。
「な、何言ってんだよ!こんなちんちくりんにどぎまぎしてたまるかよっ!」
言った瞬間はっとなって明王くんは私の方を見た。その言葉にヒロトくんも、少し驚きながら私の顔を伺う。
私はと言うと
「………馬鹿明王。」
口を摘むって、しかし何も言えなかった。
ただ、「馬鹿明王。ばあか、ばあか!」
腹が立って、
いや、へそを曲げて早歩きで明王くんの寮に向かった。
後ろで、おいっと必死に呼びかける明王くんだったが、歩幅が短いためその声はだんだん聞こえなくなっていった。








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