あれからお風呂だの何だので、結局寝たのは2時近く。
久々の夜更かしでさっき8時のアラームがなってたけど今日は学校ないし、また寝ていようと思い、アラームのスヌーズ機能を切る。
そして再び布団を頭ごとかぶって、また呼吸が寝息のリズムになる。
その時、また携帯が慌ただしく鳴った。
私は携帯のうるささにうなりなが再び布団から頭を出して携帯のサイドキーを押してアラームを止めようとする。
が止まらない。
よく考えるとアラームの音楽ともメールの着信音とも違う。
携帯を見ると着信画面。
明王くんからの着信だった。
私はペアキーを押して耳に当てる。
「もしもし?」
寝起き独自の低くかすれた声で言うと、いつもの彼なら寝てたのかよとか言うのに、
「なあ、お前俺の部屋知ってるよな?」
と、きた。いやに声が高い。
あと、ろれつが回っていない。なんなんだ。
「知ってるけど…」言うと、
「今すぐ来てくれよ」と、なんだか必死と言うか慌ててると言うか。
一瞬告白でもされんのかと思ってみたけど、なんか様子変だったし。
とりあえず用意して明王くんちへ。
男子寮住まいらしいので一人ではいったことないけど、何度もいったことあるので道ならわかる。
自宅から30分くらい歩いてやっと着いた。
明王くんの部屋まで行き、インターホンを鳴らす。
すると、慌ただしい足音が聞こえて来た。
だが、なんだか明王くんの足音にしては小さい。
そんな風に思っていると、扉が開いた。
「ちょっと朝っぱらから何なの…よ…って…」
文句を言ってやろうと思ったら明王くんの姿がない。
確かに足音がしたのに。
もしや怪奇現象かと思って肩を震わせていると、
「おい、こっちだよ!」
と、何やら子供の声がする。みて見るとそこには明王くんに似たちっちゃい男の子が。
「あれ?初めまして、明王くんの弟?」
と、肩に触れながら言うと、
「俺だよ!」
「は?一之瀬さん?」言う私にちげえ!と地団駄を踏む。
裸足だからぺたぺた言うだけ。
「俺があ き お!」

何を言ってるのかわからない。
変な顔をする私にしびれを切らし、自称明王くんはとにかく入れと私より小さな手で私の手を引く。
部屋にはいると、明王くんの姿はない。
「お兄ちゃんでかけてるんだね」
こんな朝に珍しいと言うと、うるせえなと返って来る。
「朝ごはん食べた?」
聞くと、食べてねえと顔を赤くする。
ぶっちゃけ小さい子あんま好きじゃないけど、この子は可愛いなと思った。

「じゃあなんか作るわ。私もあいつに呼ばれたせいで朝ごはん食べてないからさ」言って冷蔵庫を開ける。
「悪かったな」
と、子供のお芝居にしてはしつこい。
でもとにかく私もお腹空いてたのでまず朝ごはん。
自称明王くんはちょこんと、明王くんの特等席に座る。
「いただきます。」
二人揃っていただきます。
あきおくん(めんどくさいからあきおくん呼び)はお前料理なんてできたんだなと言う。
黙って食べる。言うとにかっと笑った。
食べ終わって、歯磨き。
と言っても私は歯ブラシ持ってないのでうがいだけど。
あきおくんは明王くんの歯ブラシ使ってる。さすがに引いた。
そして、歯磨きを終えて
元々山積みにされてた洗い物をやるとあきおくんが、悪りいなと私の足元で言った。
なんだ明王くん似のくせに可愛いな。

時間は九時半。
明王くんが帰ってくる気配はない。
お茶をもらって飲んでいると、
ピンポーンとインターホン。私が出ると言って扉を開けると
「あら、佐久間君。」
美少年の佐久間君がいた。
「苗字来てたんだな。それより、不動はいるのか?」
「今外出中でぇす」
急ぎの用事?と聞くと佐久間君は、昨日円堂君ちで私物を忘れていたと言う。
「そうなんだ。渡しておくよ。」
受け取ると佐久間君は悪いなと苦笑い。
「昨日の今日でお疲れ様。ありがと。」
「いや…。じゃあまたな」
「うん、また皆で遊ぼうね。」
ああ、と言って佐久間君は行ってしまった。
明王くん何忘れたんだろうとわくわくして見ると、財布だった。
無用心な奴め。中身を見ようと開けようとしたら
「お前それ友達として人間としてどうかと思う。」
とあきおくんがきた。
ごめんごめんと言ってテーブルの上においてやる。
そして再びお茶を飲んでまったり。
なんか、むすっとしてるあきおくんに
「どうしたの?」聞くと、あきおくんは別にと言う。
別にとか言う顔じゃないし。
と、
「よっ!」
高い高いしてみた。わあめっちゃ軽い!
「高い高い!」言いながらやると、あきおくんはおうおうとちょっと怖がってるけど微妙に楽しそう。
なんかちょっとの間居ただけなのに可愛くなっちゃった。
普通にだっこしてやると、顔を真っ赤にしてやめろやめろ言う。
「よしよし。」
可愛いホント。この子欲しい。
明王くんとおんなじモヒカン頭を撫でながらあやすように身体を揺らしてると大人しくなった。
「お前今どんだけ恥ずかしいことしてるかわかってないんだろ。」
首元でごにょごにょ言うからくすぐったい。
「本当明王くんだねあんたは」
背中をぽんぽんたたきながら言う。
「……。」
はあ、とため息。だからくすぐっいんだってば。
そういえばそろそろ名前知りたい。
「そういやあんた名前何ての?」
聞くと、あきおくんはまたため息。
一回降ろせと言ってきたからおろしてやる。
あきおくんはちょっと真剣な顔付きで
「不動明王」
と、言ってみせた。だからね、と笑った瞬間、

「お前は苗字名前。」


は、

え、

「何で知ってんの。」

「俺は出かけてねえし、今朝もここから電話した。」
あきおくんは、ベッドから携帯を見せて言った。





「まじかよ」





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