あたしと吹雪は出会った時からすぐにうちとけた友達。
付き合いはまだまだ浅いけど、吹雪の中ではそんなに小さい存在じゃないはずという自信はある。
親友だと思ってくれてるんじゃないかな。
少なくともあたしは親友だと思ってるよ。


毎日放課後に一緒に歩く帰り道。

吹雪の白銀の髪が風になびいて綺麗だ。

吹雪の白く透き通った肌が綺麗だ。
どんな女の子より綺麗。

もちろんあたしなんかよりずっと。







「なまえちゃんお待たせ。」
「あたしも今来たとこ。」
サッカー部の吹雪。
バスケ部のあたし。

お互い試合してるとことか、もちろん練習してるとこさえあんまりみたことない。


「それでね、超笑っちゃってさあ、おかしいのなんの」
毎日飽きずに二人語り明かして、一番良いところでいつも別れ道。

「また明日。」
いつもの挨拶。
「また明日。」
吹雪のまた明日を聞いて
あたしもまた明日を言って

今日も楽しかったと一人思い出し笑いするのがあたしの一つの日課だ。









君は僕のことを大切な親友だと思ってくれているよね。
僕も、
僕の中でも君の存在は誰よりも大きいよ。

でもね、ごめん。

僕は君のこと友達としてなんて見れないよ。

親友としてなんて以ての外だね。


ごめん、僕は君の望み通りの想い方はできそうにないよ。








今日も彼女はお気に入りの雑誌を読み込んでいる。
「この筋肉質!たまらん…」
雑誌に写っている外国人を見て頬ずりする彼女。
「早くしないとお昼休み終わっちゃうよなまえちゃん。」
僕はそう言って雑誌の男性外国人から目を離させる。
「お!マジだっ早く食べないと」
「なまえちゃんは本当にこういう男の人が好きなんだね。」
「うん。男らしくて好き。
筋・肉!」

そう。
彼女は男らしさを求める。

だから筋肉質な男性を好むらしい。

雑誌の筋肉質な男性に嫉妬する自分が虚しくて、笑ってしまう。
そんなところで、予鈴が鳴る。
お弁当を食べ終わった彼女が満面の笑みで言った。

「また放課後ね。」

「うん。」





「ねえ、なまえちゃん吹雪くんと仲良いよねー!うらやましい!」
移動教室。
理解の実験で一緒の班の女の子が目を輝かせる。
「吹雪?ああ、うん。楽しいよ」
笑うと、女の子は
「で、なまえちゃんと吹雪くんてつきあってるの?」
言う彼女にあたしは
「吹雪?なんで?」
本当になんで?って顔のあたしにこける女の子。
「つ、付き合ってないんだ…?じゃ、じゃあ吹雪くんて彼女いるのか知ってる?」
「吹雪が?いないと思うけど?」
「いないんだ。で、なまえちゃんは好きな人いるの?」

「ボビー!」
な"ん"だよ"〜と、ボビーのモノマネをすると女の子は変な顔をする。
「あ、そっかなまえちゃんて肌黒くてマッチョが理想的なんだっけ?」
聞かれ、ない胸を張ってうんと言う。

だからあたしと吹雪は親友でいられるのかもしれない。
男とか女とか考えなくて済む。

女の子はふ〜んとつまらなさそうに実験に戻った。

前から知っていたが吹雪はやはりモテるようだった。



あたしも吹雪は好きだけど、恋愛の好きじゃなくて良かったと思った。


そうじゃなきゃ、あたしはきっと吹雪の近くにはいられない。
吹雪と一緒にいないとか、あんま考えたくなかった。
そのくらい、吹雪は親友なんだから。



その日の帰り道。

いつものようにあたしと吹雪とで語り明かしながら帰り道を歩く。

この道は車の通りが少ないからいつも縁石の上を歩くのが好き。


「そういえばそうだったね。」
吹雪のふんわり笑う笑顔にいつも見とれる。

その笑顔にあたしも笑った瞬間、

縁石につくはずの足がすこしリズムを崩してよろめいた。

と、あたしがそれを理解する前に


「あぶない!」


「え…」

腕を思い切り引かれて歩道内に入る。


パッパー!

とトラックのクラクション。

いや、そんなのどうでもよくて、





「……!」
「大丈夫?」
じゃない。
















吹雪?
あたしはあんまり…
友達として最初から好きだったけど、異性としてはなかったなあ。




たははと笑っていたあたしがいたのに、さっきまで

そこの縁石を歩いていたあたしはもういない。

吹雪を異性としてなんて全く見てなかったあたしはさっきのトラックにはねられたのか。

「なまえちゃんケガしちゃったの?」
「し、してない…してないよ。」
今のあたしは吹雪に引き寄せられて吹雪の腕の中にいて、

顔が熱い。

あたしは赤いであろう顔を隠したくて吹雪から離れて吹雪より前を歩き始める。

そんなあたしを吹雪が呼ぶ。
「なまえちゃん、」
「ん?」


「来週、サッカーの試合をやるんだ。」
「…うん?」
吹雪はあたしの前に来て、初めて見るような真剣な顔であたしに言った。

「サッカーの試合見にきて欲しいんだ。」
「……試合か」
あたしはそんな吹雪にドキドキしてまっすぐ見れない。


「サッカーやってる僕を見てほしいんだ」
あたしは緊張しながらも吹雪を見返した。

吹雪はやっと目があったあたしに、吹雪らしくふわり笑って
「なまえちゃんに"男らしい僕"を見せたいから。」

あたしもいつもみたいに笑い返した。


「うん!」










吹雪の綺麗な微笑み方が好き。吹雪の綺麗な髪の毛が好き。

でも、

吹雪の男らしい腕が好き。吹雪の勇ましい脚も好き。


どの女の子よりずっと。

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