04
今日もやっと長いバイトが終わり、夕飯の食材調達のためスーパーに寄っていた。

土曜日だから吉徳も今日まで泊まるだろう。
スーパーで買い物を済ませると、車のドアが閉まる音と同時に渚を呼ぶ声がした。

「渚!」

今度はすぐにわかった。
「バイト終わったんですね。家まで送ります。」
スーパーで買ってきた物も今日は多く重く、それはお言葉に甘えたかった。
だけど、今日はお言葉に甘えることはできなかった。

「うん…。ごめん。今日彼氏いるからさ」
そう言うと、骸はあー…と言って
「でも送るだけでも…」
「ううん。本当にいいの。わざわざ来てくれたのにごめんね。」
微かに、本当に微かに不服そうな顔の骸。
そんな骸の表情には苛々しなかった。

骸はわかりました。と言うが、それに言葉を繋げた。

「次のバイトの休みの日、良かったらお食事に行きませんか?」
と、突然のお誘い。
「え?」
言われつい聞き返してしまう。
それにしても、いいのだろうか。彼氏もいるのに他の男の人にフラフラついて行くなんて。
「一度話をする機会が欲しくて…お願いします。」
「……。」
頭を深く下げる骸。
渚は考えに考えた。

ごめん。

「…火曜日、バイトないから。」

吉徳ごめんね。

骸は頭を上げてニコッと笑った。
「では、また火曜日に迎えに行きます。」
そう言う骸に
「がっ、学校には来ないで。うちに着てくれれば用意してるから。」
「ハイ。また連絡ください。行きますので」
そう優しく笑った骸と昔の優しい"お兄さん"がやっと重なった気がした。














火曜日。
放課後のチャイムが鳴る。
「渚今日遊ばねえ?つかバイトか」
と、下駄箱で吉徳に声をかけられる。
「あ、うん。今日もバイトなんだ。明後日休みだから明後日遊ぼ」
そう言うと、吉徳はわかったと言って乱暴に渚の頭を撫でて学校を出て行った。

友達と遊ぼうと言い合っている吉徳にごめんねと唇で謝った。













六時過ぎ。
化粧に時間がかかった。
服装にも迷った。
髪型も何度も鏡を見た。

「あたし何気合い入れてんの…」
と、はっとし時間を見る。
鏡を閉じ、骸に連絡すると10数分後に骸は車でアパート前にきた。

「え、えっと…お願いします。」
骸は笑いながらどうぞと車の座席に入れる。

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