03
あのあと骸と連絡先を交換した。
別れて家に帰った時からメールはずっと寄越される。
今日は木曜日。
今日も彼からメールが来る。
『おはようございます。今日も学校の後バイトですか?』
聞かれた。

「バイトに決まってんだろーが」
携帯のスクリーンの光を冷たく瞳で受け止め言い捨てる。
そして学校へ向かった。



8時。
バイトが終わり帰路につこうとすると

「渚!」
名前を呼ばれた。
吉徳かと思い振り向くが

「骸…」
げ、というようにあからさまに嫌な顔をする。
「バイト終わりました?家まで送ります。」
今朝どうもしつこくバイト先を聞いてきたかと思ったらこれか。
「うん。じゃあお願い。」
愛想なく言う渚。

骸は愛想なく横を通り過ぎる渚を静かに見据えた。





あまり遠くないためすぐ家につく。
一応お茶くらいだした方がいいだろうと思い家に上げる。

「お邪魔します。」
「はいいらっしゃい。あ、適当に座っていいよ。」
そう言い、コップを2つ用意する。
吉徳のコップを骸に差し出す。
そして麦茶を注ぐ。

「ありがとうございます。」
そう言い、骸はあたりを見渡した。

女の子の部屋ジロジロ見るなとまた苛々した。
「あんまり見ないで。汚いし」
そう言うと骸は
「彼氏さん…いるんですか?」
何でわかるんだよ気持ち悪い。そう思いながらも

「いるよ。高一の時からなんだ」
「へぇ。初彼ですか?」
そう聞かれ渚は一瞬考える。
「そうでもない。」
これでもモテなくはない。
骸は渚の言葉を聞き微笑む。
「まぁ、君ならモノにしたいでしょうね。」
そう言われ、こればかりはきゅんときた。





しばらくしてあまり長居はさせられないと、アパート入り口で見送った。










翌日。
学校が終わり、今日はバイトがないと吉徳に言うと飛んで渚の待つ校門に来た。
「渚お待たせ。」
吉徳の機嫌が良いと渚も嬉しかった。
「今日どっか行く?」
渚が聞くと
「カラオケ行こうぜ」
「いいね行こ行こ」
そして二人カラオケで四時間過ごし、六時半には渚のアパートに着いた。

渚としては吉徳とはあまり家で過ごしたくない。
ただ一緒に過ごしている時は幸せだが何かにつけてセックスか男がいないかチェックされてうんざりする。

昨日骸を家に上げたので少しビクビクしていたが、吉徳は特に気にせずベッドに横になりテレビをつける。

渚は軽く夕飯を作り吉徳と一緒に夕食をとった。

夕食後2人でテレビを見て笑って、渚が皿洗いを済ませると吉徳が風呂に入る。
それからは渚も憂鬱だ。
吉徳のあとに渚が風呂に入って居間に行けばベッドに倒され行為ははじまる。

キスは嫌いじゃない。
胸を揉まれるのも嫌いじゃない。
体を撫でられるのも嫌いじゃない。

だけどそんなのはセックスじゃない。
下に行けばもう嫌いの域だ。

「っ…!」
元々乱暴だしガサツな吉徳がセックスで優しくなるわけない。
だから、入れられる時がいつも一番嫌だ。

「ん"っ…」
痛い。
初めての時の相手は吉徳だった。
どんなに歯を食いしばったか。
どんなに手のひらに爪が食い込んだか。


そしてピストンが始まれば、もう渚は人形みたいに体を預けるだけだ。






「はぁっ…はぁ、」
意識が朦朧とする。
何度繰り返したろう。
時刻は0時前。
軽くTシャツとパンツをはき、水を飲む。

ふと携帯が光る。
開くとメールが一件。

骸だった。
吉徳はもう寝ている。
内容を見ると
『明日もバイト頑張ってください。おやすみなさい。』
少しの笑みが零れた。
だけど、渚自身それに気づかなかった。

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