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同じ時刻。
骸はしつこく飲みに誘われた居酒屋に来ていた。

「六道!」
来た来た、と骸の姿を見つけて骸の友人達は骸を手招きする。

骸はあまり乗り気でなく、ため息をつきながらそちらに向かう。
「授業お疲れー。」
座敷にあがる骸に言う友人に骸も短く頷く。
「とりあえずみんなウーロン割りでいいよね。」
と、凛々しい女性の友人が聞き、骸以外の男性陣は軽く返事をする。
店員を呼んであったのだろう、店員が来て
「えっと、ウーロン割りと手羽先と唐揚げを人数分お願いします。」
注文を繰り返し、かしこまりましたと言い店員はさがる。


「六道の彼女今年入学したんだよな?あんま見ないけど。」
「…そうですかね。今度改めて紹介します。」
骸はさらりと言う。
向かい側に座るもう一人の女性。可愛らしい友人はじっと骸を見る。
「六道。本当に今の彼女でいいの…?」
「…何が言いたいんですか?」
「……。」
「どうやら勘違いしてるように思えるんですが…?」
「っ…」
半ば睨み合いになったが、タイミングよくウーロン割りがきた。
「ま、とりあえず乾杯しようぜ。久々にみんな予定合ったんだしさ」
と、グラスを掲げる一人に睨み合う2人以外も協力して場を和ませようと明るく振る舞う。

みんなで乾杯したあとに、次いで他のつまみもきた。

つまみが来たところで各々料理を頼むが、元々長居するつもりのなかった骸はサラダだけを注文する。

8時になり、骸は先に帰りますと言って立ち上がる。

「あ、もう行くのかよ?」
「まあ、」
骸の短い返事に、向かいの彼女は眉間にシワを寄せる。
「僕の分はこれで払っておいてください。お釣りはいりませんから。」
そう言って骸は居酒屋を出た。

すると、あとから向かいに座っていた彼女もきた。

「なんですか?」
骸は視線だけ向けると













「お姉ちゃんのこと、本当にいいの?」











彼女はまた骸を睨む。


骸は短く深いため息をつき、


「ミリアはもう昔の人です。」
骸がそれだけ言うと、彼女

ミリアの妹は
「…そう。」
そう言って居酒屋に再び入った。



骸は目を付せ、帰路についた。




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