51
「はぁ…」
近くのファミレス。
渚は先ほどやっと骸と落ち合えた。
そして生物室で会った白衣の男のことを話すと
「たぶんそれは今年来た新しい教師だと思います。確か保健の先生ですね。」
「ふーん。」
そう言いながら頼んだオレンジジュースを飲む。

「あとね、ちょっと怖そうなんだけど仲良くなれそうな女の子もいて、それは良かったな」
笑う渚に骸は良かったですねと微笑む。

その後二人はファミレスでお昼をとってしばらく一緒に話をして、午後3時過ぎに出た。



渚が骸の肩を叩いて言った。
「ねえ、久々にうち来ない?」
骸はその言葉に目を輝かせた。
「行きます!」
最後に渚の部屋に行ったのはクリスマスだったか。
もうずっと行っていなかった渚の部屋。

そんな骸に渚は前から思っていた不満を口にする。

「てかさ、鍵必要なかったなら返してよね。」
むくれる渚の言葉に骸は
「鍵…?……あああぁ!!鍵があったのに…!」
鍵を大切にしすぎてずっと骸の部屋の引き出しにしまってあってそれからずっと…。
最終的に存在を忘れていた。


「殴ってください。」
「何それ気持ち悪い。」

「なんか今までの期間すごく無駄にしてしまった気分です…。」
肩をおとす骸に渚
「本当に忘れてたならいいけどさ。」
少し眉を寄せる。
そもそも女の子からうちくる?みたいなこと言うのはすごく恥ずかしい。
だから鍵を渡したのもあったし、実は待っていたのに。


「じゃあ今日の夕飯は僕もお手伝いしますね。」
骸のそんなちょっとした笑顔でつい許してしまう。

でも、悪くない。














「…どうですか?」
渚は今骸が1人で作った料理を口にする。

「…………。」
顔を覗いてくる骸。

「ふ、複雑…。」
「え"…渚の口には合いませんでしたか…」
少しがっかりする骸に
「あぁ…いや。あのね…めちゃくちゃおいしい。故に複雑…。」
毎日自分で料理しているのに骸の腕の方がはるかに上だ。


「プロすぎて悔しい…」
がっかりする渚に骸は素直に喜んだ。
「なんだ。渚の口に合って良かったです。」
なんだとはなんだ。
渚はまた歯を食いしばった。

「今日は久々に2人一緒にいられますね。」
そう言う骸だが
「2人一緒にって言ってもあたしたちってあんまり友達とか混ぜたりしないけどね。」
「というかお互い数も少なければ、親友とかもいませんよねぶっちゃけ。」
さらりと渚が気にしていたことを言う骸。

肩をおとす渚に
「大丈夫です。一生のうち1人でも心を許せる友を見つけられれば。」
「そうなのかな…」
正直あんまり自信がない。
友達はできる。
みんな好きだし楽しいし
けど

親友かと言われるときっと違う。


そんなのがちょっとしたコンプレックスだった。

が、

「何も学生のうちしか友人をつくれないというわけではありませんよ。僕らまだ人生の端っこしか生きてませんし。」
と、頭を撫でられる。

それでも少し肩を落としている渚に骸が苦笑する。

「食べ終わったし、そろそろ片付けましょうか。」

きっと大丈夫。

|

[しおりを挟む]
[Back]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -