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"結婚は許さないから"
母の言葉がずっと離れない。

何故母まで反対するのだろうか…。



そんな風にモヤモヤしながら大学入学を迎えた。

「これから毎日一緒の学校に通えるんですね。」
骸が微笑んだ。
背景の桜も綺麗でほっとした。

「もう今日から軽く授業なんだね。」
正直めんどくさいなあと笑う。
「今日授業がおわったら連絡してください。外食でもしましょう。」
そう言われると少しやる気も出る。
「わかった。お腹空かしとく」
言うとクフフと笑う骸。
少しだけ緊張もとけた。












ざわざわ

教室に行くとすごく広いし、
もちろんすごく人が多い。

人見知りであまり人付き合いもうまくない渚は肩を強ばらせた。

と、どこに座ればいいかわらずただ立っていると、

どんっ

「あ、ごめんなさい」
見ると女の子。
渚を少し睨むとすぐ目の前の席に座る。

感じ悪いなと思いそこを離れようとすると、

「ねえ」
「?」
女の子はとんとんと隣の椅子を叩く。

「ここ、空いてるじゃん。」
言って腕を組む。

首を傾げながらそこに座ると、ちょうど先生が入ってきた。

「はいー、じゃあ早速だけど授業始めますねー。顔合わせは各々自由にお願いするからー。」
その言葉にほっとした。
「じゃあみんなこのプリント配ってねー」
と先生が早速授業のプリントを配り、授業を始めた。



お昼までやって今日は終わりだった。

教室から出ようとすると、
「ねえねえ、これから俺ら食べに行くんだけど、君もどう?」
男の子3人に誘われた。
悪いが、骸との約束がある。
約束がなくても行かないとおもうが。


「ごめんなさい。あたし今日約束あって。」
「友達?全然いいよ、みんなで行っちゃおうよ」
と笑うが、誰も友達だなんて言ってないし誘うとも言っていない。

こんなやつらがいて初日から疲れそうだと思っていると

「ねえ、2人で行くっつったじゃん。行くよ。」
と、声がすると腕を引っ張られて走り出す。

「え?」
さっきまで隣にどかっと座っていた女の子だ。

校舎からでると女の子はぱっと手を離す。
そして

「じゃあね」
と言って帰ろうとする。

「え、ちょっ待って!」
彼女のあとを追うと
「なんだよ」
と少しガンとばされる。
「あ、ありがとう。ああいうの慣れてないからハッキリ断れなくてさ…」
そう言うと、彼女は少しだけ笑って

「あんた苗字なんての?」
「え、鈴鹿って言います。」
言うと、彼女は
「鈴鹿ね。ウチ篠木。よろしくね。」
そう言って彼女、シノキは行ってしまった。



何だかよくわからない彼女に渚はまた首を傾げた。
もしかして最初にぶつかってきたのもわざとだったり…?

「まさかね。」
もしそうだとしたら回りくどすぎる。
不器用すぎる。

でも、少しおかしくなってにやけてしまった。
いや、おかしくなってもあるけど、

気があいそうで単純に嬉しかった。





渚は思い出したように携帯を取り出し、骸に連絡した。
骸に一番に話したいと思ったから。

骸はあと一時間授業があるらしいので学校内で待っていようと思いとりあえず校内を歩いてまわった。


しばらく歩いていると生物室のような場所にきた。
色々な生き物がゲージや水槽のなかにいる。
虫は苦手だけどは虫類などは見るだけなら楽しい。

と、亀をみつけて近づいた時


ガタッ

音がしたと思った瞬間、


カサカサ


と、黒く床を這う音と影。
その存在をいち早く察知した渚は

「あ"ぁあ"あああっ…!」
身を跳ねさせると肩が何かに当たった。
瞬間、

「何やってんだよ」
若く、どこか気怠げ男の人の声。
振り向くと、至近距離にあったその顔。

薄暗かったからすぐにその距離には気づかなかったが、男の方が渚の腕をつかんできた。
「え"っ!?何、離してよ!!」
と足掻くと、

ポイッと生物室から出される。
そして男も一緒に出てくると生物室の鍵を閉めた。

渚はやっと明るい場所で男の格好を見た。
白衣を着ている。

ということは…

「俺が襲うとでも思ったか?」
座った目が渚を見据えた。
「あ、あのすいません…。慌ててたもんで…」
と頭を下げると、

「慌ててたって…その肩についてるゴ…」
「ぎゃああぁああ"あ"あ"!!??」

「…ミのことか?」
二人だけの廊下に沈黙だけが漂う。

「…さ、さようなら」
渚は顔を真っ赤にしながらその場をあとにした。


恥ずかしい。
渚の背中をみて男は微かに笑った。

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