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しゃんしゃんと鈴の音が聞こえてくる。

らんらんと色とりどりのライトが光る。


視界がなんだかぼーっとする。
曇り空を見上げると雪がまだしんしんと降り続ける。

暑いなあ、と渚は言葉にならない声で言う。
暑い。
暑いのに寒い。

寒いというか悪寒?

骸にまだくっついていたい。

骸が何か喋ってるようだけど、よく聞き取れない。

というか聞き取ろうと思えない。
眠くはないのになんだか眠りそう。


骸の話を誰かが渚を操ってるように、
渚は相づちをうつ。


全然話してることわからないけど。




骸はふと何だか無機質な渚の態度に疑問を持ち、渚を見る。

「渚?」
渚は1テンポづれて
「…んー…?」
と、視線や表情まったく変えず聞き返してくる。
骸がちゃんと渚の顔を覗き見るが
「渚?眠いんですか?」
渚の焦点のあってない目を見て骸が手を振る。

「…へー。」
やはり1テンポ遅く、しかも会話がかみあっていない。

「渚、どうしたんですか?」
骸が渚の方を少し揺すると渚は目を閉じた。
顔色が悪い渚。
骸は渚の頬に手をやると
「っ…渚熱あるじゃないですか!」
そう骸が身を移動させると渚はぐったりと倒れそうになる。
「渚っ!?」
骸は急いでタクシーを呼び病院に連れて行く。
渚が倒れた途端骸も何だか気分がガタンと悪くなる。

2人して薬をもらい、駐車してもらった。


家に帰ればもう五時すぎ。

散々なクリスマスだ。


けど、



「ただいまー…」
骸が無意識にそう言う。
渚を背負ってアパートに帰宅。

骸は電気もつけずに真っ先にベッドに向かい渚を横にさせる。

エアコンをつけてから上着を脱ぎ、渚のダウンも脱がせる。

「渚着替えられます?」
渚はぼーっとした目でまばたきして、ん。とだけ声を出した。

豆電だけつけ、骸も咳をしながら部屋着に着替える。
骸が来たとき用にと渚が用意してくれた部屋着。
あったかくてくすぐったくて、何だか嬉しい。
骸はベッドの上で着替えてる渚の元へ。

下だけ着替え終わっているようだ。
上は真っ裸の渚の背中に病人でありながらも生唾を呑んでしまう。

「寒い、閉めて。」
タンス部屋から渚を見る骸に言う。
「え…?ああ、はい…」
居間に入り、戸を閉めてベッドに行く骸。

やはりちらりと渚の裸を見てしまう。
それを振り払いながら骸は布団に入った。

そんな骸をよそに渚は
まだ上半身裸のまま、寒さで体を抱きながらどこかへ行く。

そしてすぐ帰ってきたと思うと、お湯で濡らしたタオルで体を拭く。

汗が気持ち悪い。

エアコンのかかった部屋にいたいのはわかるが、骸としては勘弁して欲しかった。


が、

背中を拭くのに苦戦してる渚に骸が無言で腕を引っ張ってベッドに上がらせる。

そして渚の持っていたタオルを取り、背中を拭いてやる。

下半身にうずきを感じながら自分が男であることを初めて呪った。

「ありがとう」
渚はそう言い、やっと服をきてタオルを洗面所へ。

ベッドに入ってくる渚に骸が言う。

「下着はつけないんですか?」
「…いい。めんどい」
骸に背中を向けて眠ろうとする渚。

骸は心のうちで激しく葛藤する。
何故風邪をひいているんだと。


骸はつい渚のうなじに唇を這わす。
ついやってしまった行動に、あ。と思った瞬間
「…やだ」
と渚に拒絶される。

が、どうしても我慢できそうにない自分の体。
今度は渚の服の下から手を入れて下着の壁のない胸を揉むと
「やめろ」
と冷たい声。
骸は背筋が凍って手を抜くこともできずそのまま体を硬直させた。

何だろうこの状態は、

渚はそのまま寝息をたてはじめた。

そんな渚に骸はつい笑った。
骸は渚を起こさないよう、渚の背中に顔をうめて骸も続いて眠りについた。

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