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今日は帰って。

それだけ一方的に言い放ち、渚は自分を呼ぶ骸の声に耳をふさぎ、再び布団に入った。


そして気づけば眠りに落ちていた。














ふと目が覚めた時は午後5時。
とりあえず化粧を落としてボサボサ髪型もくしを通してちゃんとさせる。

真っ暗な部屋。

外から漏れる灯りにカーテンを明けると、真っ暗なのに雪の白さで明るく感じる。

渚は窓を明け、雪景色を見渡した。

冷たい風に肌が体が引き締まる。

は、と白い息をはくと、夕飯のおかずがきれていたことに気づいた。
今日は思いっきり外食の予定だったから。

渚は上着を羽織り、財布を持って家のドアを開けると

「!?」
どんっとドアを開けた拍子に誰かにぶつけてしまった。

「あ痛ぁーっ」
隣のおばさんだ。
「ご、ごめんなさい!大丈夫ですか!?」
「ああ、ごめんねえおばちゃんこそ!邪魔だったねえ」
いえいえと頭を下げると、なんだか騒がしい。

見るとアパートの駐車場にパトカーが一台。
「ど、どうかしたんですか?」
聞くと

「不審者!昼間っからずうーっと怪しい男がいてさ!おばちゃん通報したんだよ!」
と眉をひそめるおばさん。
「へぇー…クリスマスに怖い…」
「あんたんちとうちの部屋の間にずうーっといんのよ!気持ち悪くてねえ」
そう言いながらおばさんが指を指した。
その方向をドアから覗き込むと


「…は?」
骸がおまわりさんに話しを聞かれていた。

「骸何してんのよ…!?」
そう呟き、おばさんの横をすり抜けておまわりさんに睨まれてる骸の手を取り部屋に入れた。

「渚っ」
骸が渚の名を呼んだ瞬間渚は骸を部屋に入れたままドアを閉める。
骸の声が震えてるように感じた。

「なぁにっあんたの知り合いなの?」
おばさんが驚いた顔をする。
「ちょっと君話いいかい?」
骸の次におまわりさんに睨まれた渚。
「すいません!ちょっと喧嘩して閉め出してただけです!すいません!」
と頭を下げ部屋に入った。

背中に骸の気配。

渚は骸の手を握る。


やっぱりすごく冷たい。

骸はそんな渚を抱きしめる。
骸の体の冷たさに渚も鳥肌をたてる。
「渚、」
震えた声で呟く。
耳にかかる息も冷たい。

渚はキッと眉間にしわを刻み、骸を自分からはがし



ばしんっ


と乾いた音を部屋に響かせた。
骸はぽかんとした顔で渚を見る。

渚は骸に肩をぶつけながらどかどか部屋に入り電気をつけ、こたつの電源を入れる。

そして骸をひっぱり、いつも座る位置に座らせ、さっきまで自分がくるまっていたまだ暖かい毛布を羽織らせる。

「帰れって言ったのに…。ここで待ってて。」


そう言い、渚は部屋を出た。


おまわりさんにまた会ってしまい睨まれたのでとりあえずちゃんと謝った。

そして今度こそスーパーに向かう。


野菜と肉と豆腐ときのこと

どんどん食材を買い、早歩きで家に向かう。


家に帰ると


「……」
骸は解凍されたみたいにちゃんとした肌の色に戻り、こたつで寝ていた。














骸はぐつぐつという音でふと目を覚ます。

近くて白い電気がまぶしい。

だが、だんだん見覚えのある風景だと理解してくると

そして飛び起きると渚が目の前に。

「渚ー!」

骸は渚に抱きつく。

「ちょっと、危ないからやめて!」
骸はそう言われ、テーブルの上を見ると

「これは…?」

昔みんなで食べたことがある。

「鍋。」
骸は目を輝かせる。
「久々です、鍋。」
骸が嬉しそうに言った。
渚もそんな骸を見てつい微笑んだ。

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