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クリスマス当日。
渚は骸と11時に駅で待ち合わせしていた。
渚は軽く買い物をしようと少し早めの10時に来ていた。
今日は骸との初デートということで起きたのは5時だ。
化粧、髪型、服装全部迷ってギリギリだった。
でもその甲斐あって今日はバッチリ決まった。
少し緊張し、ドキドキしながらワクワクする。
と、買い物も済んで渚は駅入り口のベンチで骸を待っていた。
まだまだ時間はあるけれど。
と、そこへ
「おはよう。」
「ミリアさん…?あ、おはようございます。」
頭を下げると渚に微笑んだ彼女。
「可愛いわね。今日はどうしたの?」
ミリアさんの問いに渚がどう答えようか考えていると
「彼なら来ないわ。」
「……え?」
渚はまたまた冗談をなんて風に聞き返すが
「嘘だと思うなら一時間でも二時間でも待ってなさい。」
どうやら冗談でもないらしいミリアの様子に
「何言ってるんですか?」
渚は眉を潜めて言う。
「今日骸君は私と過ごすわ。」
「な、ならメールくらいくれるはずだと思います。」
最初は渚の方が自信があったが、ミリアの余裕の表情に、だんだん不安を感じる渚。
「じゃあついてきてよ?」
渚は骸を待つと言おうとしたが、
「彼と10時半に約束してるの。車回すから来て。」
渚はミリアについて行くことにした。
渚が連れてこられた場所は大学。
渚は車の中から少し離れた場所に行ったミリアを見た。
手に携帯を握りしめた。
着信音が鳴らないことを願った。
渚は骸を信じた。
信じて自分にも自信を持った。
だが、
「む く ろ ?」
骸が来た。
あれは確かに骸だ。
骸がミリアに向かって微笑んだのがわかった。
ミリアが骸に抱きつく。
骸がミリアの背中に腕を伸ばした。
「 」
ただ呆然と見た。
が、渚はそっと車から降りた。
そして、ひっそり大学を出た。
携帯にはメールも着信なし。
骸の自分への気持ちがわからなくなった。
クリスマス。
頬に落ちた冷たい結晶。
ホワイトクリスマス。