28
「……。」
「……。」
何だかんだ30分ほどまわって、
骸も演劇終わりなため、周り疲れて2人でジュースを飲んで座っていた。

オレンジ黄色赤の木々の色が綺麗だ。
木々の色でもうすっかり秋なんだと自覚できる。
ふと気になったことを骸に聞いてみた。
「骸なかいい人とかいるの?」
骸は表情ひとつ変えず
「あぁ、なかいい人ですか?」
うん。と頷いた瞬間、
「あ、六道!」
ふと男子生徒であろうひとに骸の名が呼ばれた。
「あぁ…お疲れ様です。」
骸は薄い反応で微かに表情を緩めた。
男子生徒が四人と、女子生徒が二人。
クールそうで綺麗な人と物静かな可愛い人。
可愛い人にどこか見覚えを感じる。
「ん…?その子誰?」
綺麗な女の人が渚の事を骸に聞いた。
「彼女は、もちろん僕の恋人ですよ」
「まじで!」
男子生徒が目を輝かせる。
「へぇえー…あんた…彼女なんて作るのねえ…」
と驚愕し、綺麗な女の人は眉間にしわをよせた。
彼女の視線が横にずれた。
視線の先は可愛い女の人
彼女はあまり表情も変わらないようで、無口なようだったが、そっとつぶやいた。
「…彼女できたんだ…言ってくれればよかったのに…」
物静かな彼女は不服そうに眉をよせて言った。
骸は表情ひとつ変えずに、
「…そうでしたね」
男性たちが盛り上がる
「そうだよ六道…!教えてくれればよかったのに!」
そのノリに骸も笑ったが、なんだか違和感。
「いくつなの?」
「高校三年生ですよね。」
「う、うん。」
男性が渚に聞いてくるが、渚が答える前に骸がまっさきに答えてしまう。
骸の何を知ってるとかじゃないのに、骸らしくないなと思ってしまう。
「何?卒業したら就職するの?」
「あ、えっと…」
「彼女はこの大学を受験するんです。」
ほらまただ。
そして話の内容がだんだん深い方へ
「ねえ、最後にキスしたのいつ?」
渚に迫ってくる男性達こういう話は男子と普段話さない渚どうも慣れない。
「あー…えっと…」
「さっきしました」
今度は得意げに骸が言う。
骸をにらみつけたが、骸は鼻をたかくしているだけでまったく渚の鋭い視線には気付いていない。
「あ!六道先輩!」
と、男女のグループが骸に話しかける。
「もしよかったら広場で写真撮影してもらえませんか?」
男子生徒がそう言ってカメラを見せた。
骸は渚を見たが、渚はそれくらいいいだろうと、
「行ってきなよ」
そう言うと、すぐ戻ってきますと言って男女のグループと行ってしまった。
それを見計らったように、チャラチャラとアクセサリーのこすれる音。
「え?何?あの子六道の彼女なん?」
頭の悪そうなしゃべり方で骸の友達達に聞いている。
見るからに柄の悪い男二人。

「へえ。意外と普通じゃね?」
「でもよく見たら可愛いじゃん」
骸の友達である人たちに助けを求めるように視線を泳がすと、彼らは頷いて
「ねえ、この子にあんまり構うと六道怒るよ」
言うが、この二人はへえーと軽い返事。
「いくつなん?」
「高三です」
「高三だって!ギャハハハ!」
何が面白いんだ。下品な笑い声がしゃくに触る。
でも、さすがに怖くなって少し動機が激しくなる。
「名前は?」
そこで再び骸の友達が制止しようと前に出る。
「だーっ!もういいじゃん!」
「よくないって〜」
軽く流す二人。
「ねえ名前!」
今度は少し強い言い方で、つい答えてしまった。
「渚か!渚ね。ハイ覚えたぁ!」
「渚渚渚」
「ギャハハハ!」
再び骸の友達に助けを求めると、綺麗な人が電話をかけていた。
他の友達のジェスチャーでは骸に電話で伝えているらしい。
タチが悪過ぎてみんなでは追い払えないのだろうか。
そして話は深い方に
「あいつってエッチのときどうなるの?」
「…!」
「ねえ」
二人が渚の体を舐めるように見る。
「あんた”こっち”で苛められっ子でしょ?」
ドクンと心臓が跳ねた。
「骸君に調教されてる?」
「もしくは元彼?」
体が固まる。
「苛めてオーラっていうの?」
「Mかあ!超いいじゃん!意外とビッチ?」
「…!!」
渚は怒りと恐怖で震えた。
馬鹿にされたようで、嘲笑われてるようで悔しかった。
「おい、お前らもうやめろよ…!」





「退学。」


小さい声なのに、凛と通る声。
馬鹿笑いしてる男たちにも響くほど耳に入ったようだ。
この声にみな聞き覚えがあった。

「あなたたち、今すぐこの学校から出て行ってくれるかしら?」
「あ、あんた…!」
渚にも見覚えどころか、忘れられない人物がそこにはいた。



「ミリアです。みんな久しぶり。」
彼女はふっと微笑んだ。

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