長い廊下を一人歩いていたら、勢いよく後ろから飛び付かれエリーゼは危うく倒れそうになる。急に抱きついたりしないでと毎度のように言っているのだが彼には無意味のようだ。

「びっくりするし恥ずかしいから急に抱きついたりするのやめてって言ってるでしょ!」

「いいじゃーん、僕ら恋人だよ」

自分よりも小さく獣耳を持つ恋人、シュレディンガーに手を焼いていると向こう側からドクがやってきた。

「准尉、あんまりしつこいと少尉に嫌われますよ」

璃子の後ろから飛び出てくると獣耳をピンッと立てる。

「そんなことないよ、ねっ少尉!って少尉ー!?」

シュレディンガーが前に飛び出したと同時にエリーゼは歩いてきた方向と逆に向かって走り出していた。追い掛けようとするシュレディンガーの襟をドクはしっかり掴む。

「准尉は私と一緒に昼食の用意です」

反論してくる准尉に無言の圧力をかけると渋々従ったが、念のため逃げたら昼食は抜きだからなとドクは釘を刺す。どうやら逃げるつもりでいたのかちぇっと子供のように口を尖らせた。
その頃エリーゼは一人黙々と書類の整理をしていた。准尉には悪いことをしたと思うがいきなり現れては抱きつきしかも誰の前であろうと気にしない、愛してはいるけれど恥ずかしがり屋のエリーゼにとっては無理がある。どうしたらわかってくれるのだろうか、悩んでいると准尉と同じヴェアヴォルフである大尉が入ってきた。エリーゼは近くにより上から下まで大尉をじっくり、まるで観察するように何度も見る。

「シュレと同じヴェアヴォルフなのになんでこんなにも違うんだろう?」

さぁ?とでも言うように、大尉は首を傾げた。




「今日は僕も手伝ったんですよー」

昼食の前に座る少佐に得意気に料理の説明をするシュレディンガーにドクは感心し、少佐は彼を褒めると食事にありついた。

「准尉はまたエリーゼ少尉の所にでも行ったのかね?」

既にシュレディンガーは消えており、台の二段目にあった皿が消えている


「えぇ、多分。準備の際も後で一緒に昼食を摂るとかなんとか」

「忙しい猫だ」

少佐は笑うと楽しそうに食事を続けた。




エリーゼは書類を整理する手を休め大尉とのんびり会話をしていた。相槌などは打っても、大尉は喋らずエリーゼがずっと喋り続けているため会話と呼べるかはどうかは疑問だが。

「シュレも大尉くらい身長が高ければいいのになぁ……なんてね」

冗談混じりの発言を本気にした、ドアの向こう側にいた人物は手に持っていた食器を落とすとどこかに消えてしまった。
食器の割れる音にエリーゼと大尉は目を丸くしとりあえず扉の外を確認しに行くと頭を抱え、苦笑いした。
シュレディンガーは一人地下の外でぶつくさ文句を言いながらも目には涙をため、大尉の身長を絶対に越してやると心に誓った。












冗談を本気にしちゃう准尉でしたー



back


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -