DIOジョナでお話(前編)
2013/03/18 00:12

「ディオ…、その、お願いがあるんだけど」
「願い?」


DIOは耳を疑った。

眼前でおずおずと話しかけてきたこの男はめったに頼み事をしない。お返しに何を要求されるか知っているからである。
最後に頼まれたのは1年ほど前だったろうか、どうしても読みたい本があると言われ2日で用意してやった代わりに朝まで読む時間は与えなかった。そういうことだ。

以来どんな些細な借りも作ろうとしなかった彼がまさか「お願い」とは信じがたい、が、叶えてやりたくもある。
お返し云々を抜きにしても頼られるのは単純に嬉しかった。

内容を聞く前にソファーを軽く叩いて自分の隣に座るよう指示する。ジョナサンも応えてそこへ腰を下ろした。


「で、何だ」
「う…うん。…もう済んだことだし、君の好きにさせてあげようと思ってたんだけど…やっぱり我慢できなくて……」
「? 何の話をしている」


せっかくの願い事だと言うのにする方がまだ口を濁している。
じれったさを我慢して問い詰めると、数分後にやっと彼にも決心がついた。


「…よく聞いてね?」
「さっきから聞いてるだろう」


「……あの、出来ればもうちょっとマシな服を「却下だ」


やっとのことで提案した質問はあっさりと一蹴された。


「まだ最後まで言ってないよ!」
「分かった上で却下なんだ阿呆。こんなに似合っているのに何が不満なのだ」
「…似合ってるから問題なんだ…」
「?」


一刀両断の返答に心が折れかけたジョナサンだったが、もう一度その翠に意志を宿す。
無意識のうちに呟いた最後の言葉は誰が聞くこともなく宙に消えた。


「ディオ、普通の服を着てくれとは言わないんだ。…言わないけど、せめて今みたいなボディーラインを強調する…ふ、服?だけはやめてくれないか」
「何故」
「なっ何故ってそりゃあ、今は君のでも元はと言えば僕の身体なんだぞ!それがそんな…っそんな露出した服ばっか着せられてちゃ目も当てられない!もはや服と呼んで良いのかどうかも危ういじゃないか…!」
「…ジョジョ、貴様は全く分かっちゃいないな」


必死で説明するジョナサンとは対照的に返ってきたのは落ち着いた声だった。


「このDIOが!なぜこのような服を好んで着ていると思う!お前の身体だからに決まってるだろうが!」


そんなことはなかった。


「…へ?」
「私はお前を尊敬している、精神はもちろん身体もだ。強靭で頑健でそのくせしなやかで、今まで何万人と見てきたが100年経ってもこれ以上に理想の身体はない!つまりお前の身体は世界一美しいと言っても過言ではなく」
「か、身体身体って言うなァーッ!!言うに事欠いてなんだその理由!」


自信満々に元自分の肉体をこれでもかとほめちぎられ、ジョナサンの顔は羞恥に染まっていた。
それでも現在の持ち主にとってはまだ語り足りない。


「美しいものを手に入れれば他人に見せびらかしたくなる!当然のことだろう!」
「ああもうそういう問題じゃなくて……ッ!?」


瞬間、ぱちり、と二人の目が合った。と同時にジョナサンがそらす。


「…なぜそらした」
「別に…理由なんて無いよ」
「こっち向け」
「嫌だ」


面白くない、今にもDIOの口からそんな台詞が飛び出しそうだった。
あからさまに苛ついた態度を取られているがこちらも譲るわけにはいかない。

しかし顔を背けたままのジョナサンが両肩を強く押されたと気づいた時には体は深くソファーに沈み、薄暗い天井が目の前に広がっていた。
それも瞬時に消え、今度は黄金の髪と紅の瞳が視界を占領する。

治まったはずの熱が再びぶり返してきた。


「これで私しか映らないな?」
「きゅっ、急に何するんだ!離してくれ…!」
「さっきの訳を白状したら考えてやらんこともない」
「だから何でも無いって、」
「そうか、なら一生このままだ」


冗談に聞こえない発言に背筋が凍る一方で顔はどんどん熱を帯びていく。
いくら逃れようと暴れても両頬に固く添えられた手のせいで身動きがとれない。


「(そうだ、目を閉じれば…!)」


咄嗟にひらめいたジョナサンはざまあみろ、とでも言う風に得意気な表情で瞼を下ろす。
この行動によって自ら墓穴を掘ったことも、紅が楽しそうに弧を描いたことも知る由はなかった。




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このあとがカオスすぎて載せるの恥ずかしいとです(何を今更)
誤字脱字、ご意見などありましたら容赦なく言ってやってください(´^ω^`)





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