あとがき




ここまでお付き合いくださった方々、本当にありがとうございました。
一年越しにやっと完成致しました。
拙いところがかなり目について読みにくいとは思いますが、それでも今ここを読んでくださる方々の目に映してもらえたというそれだけで、とんでもなく幸せなことだと思っております。


***以下自己満足的解説と補足です。読まなくても全く問題ないです。






『あるいはまた、』のタイトルはただ最後の文章として締めくくりたいがために決めました。
「あるいはまた、同じことが起こったとしても、私は貴方と共にありたい」という気持ちを表現したくてこのお話を書き上げました。
そういうところを上手く表現できていないのでここで色々書かせてください。
長編書き終わったのに?という感じですがお付き合い頂ければ幸いです。

主を失った同田貫の絶望と、同田貫に出会えた女審神者(=夢主)の希望。
恋心が入ることでこじれる関係が誤解を解いて穏やかに進んでいきます。
けれど同田貫は二年前に消えていなければならない存在。
他の刀剣は夢主により顕現されたので感覚を共有するほどの強い繋がりを持っていますが、既に主が消えている同田貫にはそれがありません。
では何が同田貫を本丸に留めていたのか。
それは前任審神者の白い羽織の力であった、ということを書ききれませんでした。
修行に出てしまった同田貫がなんとかこの世に留まるために、前任審神者が最後の力を振り絞り白い羽織に力を込め本丸自体と同田貫の姿を保たせたという感じです。

二年の間はその力に守られていた同田貫ですが、夢主の介入によってそれが崩れます。

力のない役立たずとして疎まれていた夢主ですが、誰も入れなかった本丸に乗り込むことに成功します。
この力こそが夢主の潜在能力として書きました。
夢主は三ヶ月の間本丸に充満する前任審神者の力を自身の力として溜め込み、かつさらに昇華させることにより強大な審神者になります。
本人は無自覚でしたが強い審神者だったよ、ということです。
ただ、これも同田貫という存在があってこそ。
夢主は殆ど無気力で既に人生を諦めていたので、本丸に入れた時もどうすべきか分かっていないんですよね。
政府から逃げられたことだけを喜んでいて、あとはもうどうでもいいとさえ思っていた。
それを同田貫が支えて、夢主を審神者たらしめる。

前の審神者、同田貫、夢主がいたからこそ同田貫が消えた二年後、全ての刀剣を揃えるまでに強くなったということです。
全く上手く表現できていなくてすみません……。

夢主の力が覚醒していく。
ということは前任審神者の力が夢主に吸収されていく。
ということはつまり、馬や白い羽織、同田貫など前任審神者の力で姿を保っていた物達の消失に繋がります。
前任審神者の力が無くなり姿を保てなくなった馬、羽織が消え、一気に二年間の疲労が降りかかった同田貫。
更に、二年の間に自身で育ててしまった暗い感情が力が弱まったことで暴走してしまいます。
鶴丸に向けられず自身の中に閉じ込めた暗い感情に抗う力も残っておらず、どんどんボロボロになっていきます。

この終わり方は初めから決めていました。
同田貫が消えること、蘇らせて終わること。
そのきっかけが白い羽織と、夢主との繋がりであることも初めから決めていました。

ボロボロの同田貫が最後に夢主と繋がるわけですが、そのままの意味で、繋がっていたから消えずに繋がっていられた(?)という感じです。
神様や妖怪はよく昔話で人間と結ばれることもあるので、そんな感じです。
二年の時を経て夢主の力を受けつつようやく回復してきた同田貫は、白山吉光の顕現によってようやく全て回復することになります。
白山くんの力は素晴らしいです。
元々おまもりを渡していたから復活した、という風に話を作っていたのですがどうにもしっくりこず、そもそもおまもりを渡すシチュエーションもむずかしくてその辺りで頓挫していました。
白山くんの実装によって同田貫の復活とお話の落とし所が決まって、ようやく形にすることができました。
白山くんありがとう。
私の本丸にも来てください。


前任審神者がなぜ滅んだのか、はあまり決めてません。
自分で閉じた、本当に襲撃された、鶴丸が裏切ったなどいろんなパターンを考えましたがどれもしっくりこず、でもだからこそ同田貫のやりきれない虚しさを書き続けられたのかなとも思います。

なんだか偉そうに長々と書きましたが、決めてるようで決めてないものなので感覚で読んで頂ければ嬉しいです。

本当は御手杵との手合わせや長曽祢が修行に行きたがったり、夢主とのいちゃいちゃももっと書きたかったのですが割愛しました。
鶴丸についても余談で一つ考えていたのですが、くどくなったので削りました。
鶴丸は同田貫が前の自分として接していることにものすごい違和感を感じていて、普通に仲良くしたいだけなのになぁとかそんな苦悩を抱いています。
前の鶴丸は支部などでよく見かけるスパダリしっかり者な感じですが、やる気のない夢主から顕現された今の鶴丸は支部などでよく見かける驚き大好き悪戯マンな感じです。
そんな違いも書きたかったです。


ひとまずこんなところで『あるいはまた、』は完結です。
久々に出会った瞬間の二人については皆様のご想像にお任せ致します。
あと三つほどおまけのような番外編のようなものを書けたら自分を褒めてあげようと思っていますが、まだ全く構想もないのでいつになるか分かりません。


ここまで読んでくださった方がいらっしゃいましたら本当にありがとうございます。
またいろんなお話を頑張って書いていきたいと思っています。
お暇なときにでもぜひ覗いてやってください。

それでは乱文失礼いたしました。


2019.09.23. 七時






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