阿波まとめ | ナノ 一、父について



阿波の×××という一族に、代々仕える忍衆の頭目が俺の父だ。

「吉野、お前はこの阿波衆の一人、次期頭として産まれたことを誇りに思い、いつか×××様に仕えることのみを胸に精進しろ」
「はい、分かりました父上。吉野は×××さまのおんため、この身この技をみがいてまいります」
「うむ」

稽古場の畳に額を擦りつける小さな我が子を、父の金時(きんとき)は満足そうに腕を組んで見下ろしていた。
頭である父は忙しく、家に帰ることも少なかったので稽古のときぐらいしか会うことは無かったけれど、厳しくも強い父が俺は大好きだった。

特に、わさわさした口髭が。



[11/02/09]



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