阿波まとめ | ナノ おやすみなさい



「海巳の名前って綺麗やなぁ」

お日様がぽかぽかと暖かいものだから、なんとなく屋根の上でのんびり過ごしていると、隣で同じく寝そべっていた阿波が唐突にそんなことを言った。
山原はそちらをちらりと見て、首を傾げる。

「そうか〜?」
「ん。海はでっかくて綺麗やし。蛇も…うん、見方によっちゃ綺麗、なんかな。響きもええし」
「っはは、にふぇーでーびる」

ぽつぽつと語られる褒め言葉に、思わず笑ってしまった。
なぜならそうやって羨ましそうに告げてくる阿波が、なんとも眠そうな顔で、というか半分以上は寝ていたから。
むにむにと顔を擦ってはいるが、これではあと幾らもしないうちに夢の国へ旅立ってしまうだろう。

「うり。くまで寝てると、また七尾んかい心配されんぞ〜」
「大丈夫だ問題ない…寝てないけんー…」
「…寝ちょるやんやー」

否定しながらも睡魔に連れて行かれた阿波を眺めて、山原もゆっくりと目を閉じた。



「ゆくいみそーれ」



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