阿波まとめ | ナノ
兜を作るにゃん!



用具倉庫に来たと思ったら廃材を掘り出しがちゃがちゃやり始めた阿波を、富松は不思議そうな眼で見つめた。
気になるけど聞けない、聞けないけど気になる、けどもし聞いて怒られたら…ぐるぐる考えた末、意を決して声をかけると、「なーにー?」と存外普通に返事が返ってきた。

「せ、先輩…それは何を作ってんですか?」
「これ?いや、湖滋郎に頼まれてな。なんでもにゃんこにつけるんだと。あ、一応軽くしてあるからな。さすがに小動物が重みで潰されるのはちょっと…あ、作ごめん、グロじゃないから退くな退くな」
「っ…えと、猫に、その…赤い兜をっすか」
「あと若にも首輪作って貰うらしい。総合的な完成予想図はこんな感じで」



「ちなみに名前はひこに」
「あああ、アウトォォォォォッ!!!!目隠ししてるけど殆んど意味ねぇし煙管まで持ってやがる!」
「ゃーん…って、えー?どこら辺が?ほら、この角の部分はいざとなったら電圧で相手を攻撃することが出来るんだぞ。名付けてえれっとぅり」
「更にアウトォォォ!ちょ、色まで付けてノリノリっすけどこれ各方面からクレームきますよ著作権的な意味で!あああそうして吉野先輩はお縄になり、ずるずると芋蔓式で七年生が…それを止めようとした六年五年と次々に…最後はヘムヘムが一匹、寂しく鳴くがらんどうな学び舎…!」
「作、そろそろ帰ってきて。俺寂しい」
「じゃあその予想図は破棄して、角への細工もやめてください!」
「えー…」
「えーじゃないです!」

普段ぐるぐるしてることが多い後輩のきっと睨むような顔に、阿波は「わ、わかった」と頷いた後、ふにゃりと笑った。なんだかんだで遠慮がちなこの後輩が、こんなに怒ってくるのも珍しい。


嬉しいし、やっぱりこの予想図は記念に置いとこうかな、と考えてしまう阿波であった。


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そろそろ作にも構ってほしかった阿波くん。室町で電気を扱うとか、工作に関してだけは本当にチートな奴です。
某人気ゆるキャラ彦●ゃんや某マフィア漫画ラ●ボとは一切何の関係もございません。ほんとだよ!



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