おはなし | ナノ 02 少しだけ夏が待ち遠しい



もう少しで夏の長期休暇。
指折り数えて待っていると、屋敷の同僚達に笑われてしまった。


「本当に、あんたは若様が大好きねぇ」
「べ、別にそういうわけじゃ…」
「いいのいいの。あんたってば、昔っから何かあったらあの方の所に飛んで行くんだから」
「うぅ…」


言い返せなくてもごもごしていると、彼女は笑って洗濯物を干しに行ってしまった。
なんだなんだ。別に、本当に、そんなんじゃないんだもの。


「三郎さまには、僕がついてなくちゃ駄目なんだ」


言ってしまった言葉は誰に聞かれることもなく、ただ気恥ずかしさとなって僕に帰って来た。
あああ、早く帰って来ないかな。あんまり暑いから、頬が茹ってしまいました。


こんなに暑いと、貴方はいつも体調を崩してしまうんですから。






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