おはなし | ナノ 拍手ログ01/団蔵



「馬借ってさ、エロい」
「は?」


今日も今日とて夜を徹して帳簿と向き合っていると、先輩の一人がぽつりと呟いた。
一年と二年生で普段は仲が良いと言えないその少年は、委員会のときはそれなりに真面目で頼れる先輩の一人だった。
徹夜四日目は、彼を変えたらしい。


「下がさ、ちらちらしててエロい。足が見えててエロい。ぶっちゃけ清八さん18禁だろ」
「せ、清八をそんな目で見るな!」
「お前ならいいのか」
「えっ!?」


真剣な目を見返して、団蔵は真っ赤になった。
二年生で嫌みたらしいけど、顔だけはいい。成績もいい。真面目だけど柔軟でもある。
そんな先輩からの熱視線に、徹夜二日目の団蔵の脳は、一瞬にして沸騰した。


「何言って、」
「団蔵…今度馬借スタイルで割烹着付けて、俺のために味噌汁作ってくれよ」
「うぅ…そ、そこまで言うなら…」


言ってる事は限りなく変態なのに、格好良く見える。
団蔵の頭は一層蒸発して、勢いで頷いてしまった。
その途端スパーン!と、限界を超えた頭が机にめり込んだ。


「一年に何を強要しとるかバカタレィ!!罰としてランニング十周!勿論算盤を持ってだ!」


頭を叩かれた拍子に眠りの世界へ旅立った彼にその怒鳴り声は聞こえていない。
それどころかその怒鳴り声を合図に、他の者も旅立つ。勿論団蔵も。



後日、割烹着を持って団蔵のもとを訪れる者がいるとも知らずに。



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