おはなし | ナノ おさなづま8



「で、結局何を書いたんだ名前は」
「それはいいだろう別に」
「聞けハチ。なんとこいつ気持ち悪いことに、『なんて書いていいか分か「わー!プライバシーの侵害!迫害!災害!雷蔵助けてくれ三郎が俺のことを弄ぶ!!」
「誤解を招くような発言をするな。大体雷蔵はそんなこと信じないぞ」
「三郎…そういうことは僕の顔以外でやってね」
「雷蔵さん!?」


がさごそがさごそ。
家探ししながらそんなことを小声で言い合う俺達。
葛籠を漁るハチと三郎。畳の下を探る俺。戸の前で耳を澄ます雷蔵。他のろ組生徒も数名、屋敷のそこらに散らばっているはずだ。
実習なんだから仕方ないとは言え、まんまコソ泥だよなぁ。





予定してたよりも早く終わった今回の課題。優の判を頂いた俺達は満面の笑みで帰路についていた。


「あーあ、お前らが騒いだから先生に怒られちまったじゃんか」
「ハチもかなり騒いでたがな」
「まぁ無事合格も貰えたことだし。帰る前に町に寄って行こうよ、僕本屋が見たいんだ」
「私は化粧屋に行きたい」
「毎度思うけど三郎が化粧屋に行くのが気持ち悪い」
「そうかハチ一緒に行ってくれるのかありがとう。自ら荷物持ちを名乗り出るとは、私は友想いな友人を持って本当に幸せだな!」
「しまった!」
「お前のためにも大量に買うとしよう。名前は?」


今しがた追い越した辻駕籠をぼうっと眺めてた俺は、三郎の声に慌てて首を振った。


「俺はいい。茶店で待ってるから適当に回ったら拾いに来て」
「ふぅん?」
「名前、お土産買わないの?」


意味ありげな三郎の視線と、雷蔵の不思議そうな顔。お土産って言っても、さっき峠で豆腐買ったじゃん。
俺が首を傾げると、八左ヱ門がにやにやと首に腕を回してきた。もさもさの髪が苦しい。


「愛しのあの子に贈り物の一つでも、ってな!」
「ぶふっ」
「まずは相手の気を引くことが大事なんだぞ。お前今までの女の子、顔で引っかけてただろう。きちんとした手順を踏んでみろ馬鹿」
「馬鹿に馬鹿って言われた!」


お前ら自分の委員会の後輩じゃないと分かると言いたい放題だな!



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