おはなし | ナノ
でっかいちっさい



名字名前には夢がある。
途方もなくでっかい夢だ。



隣の組の綾部喜八郎に、笑ってほしい!



「時々六時十分から笑ってるよ」
「俺モブだから出れないもん…見れないもん…」
「おやまあ」


いつか俺の目の届く範囲で、綾部に笑ってほしいな。
穴に落ちた俺に手を貸してくれる能面みたいな無表情を見ながら、俺は再度意気込んだ。








野望に向けて意気込む名字名前は知らない。


「喜八郎、今日はなんだか機嫌が良いじゃないか」
「うん。穴に落ちた名前を引き上げるために手を繋いだんだ」
「お前は名前のこととなると、不気味なくらい表情が変わるな…」



でっかい夢は、意外と簡単に叶うのかもしれない。


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名字名前
よく穴に落ちるモブ。綾部にベタ惚れだが、本人はまったくの無自覚。



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