おはなし | ナノ
Try fight!4
「待て名前!!」
「や〜だよ〜。というか仙蔵、よくノーふんでそんだけ動けるな」
「…は?、…あぁ!?」
「色っぺえ」
褌が無いと形がはっきり分かっちゃうよね。
仙蔵は浦風くんみたいに隠しはしなかったけど、真っ赤な顔でふるふると震えた。
羞恥心と怒り。俺は仙蔵のその表情が、一番好きだ。
「名前、お前…、お前また…!」
「わざわざ穿き代えてきたのにな。ゴチです」
先ほども褌を掏られた仙蔵は、返そうとしない犯人に痺れを切らせたのか浦風くんに俺を監視させ、褌を穿き直してきた。そしてまんまと脱走された、と。
そんなにされると余計燃えるんだが、そういう男の浪漫はこの男には理解できないらしい。
小平太なんてノーふんで裏山に行ったぞ。
「さて、次は文次郎の褌を狙うか」
「まだやる気か!というか何故文次郎!」
「あんなギンギン鍛錬馬鹿の褌、何日洗ってないか分かったもんじゃないぞ!?」仙蔵が必死になって俺を止める。
おい仮にも同室だろう。なんでそんな黄ばみ悪臭と貶めるんだ。意外と綺麗好きな文次郎が泣くぞ。
「大体お前、何故私の褌だけで満足できない!」
「一人の褌に縛られちゃ、真の褌マスターにはなれん」
「訳が分からん!満足しろ!」
「や〜だよ〜」
「仮にもこ、こい、恋人だろう!?」
仙蔵の振り絞ったような叫びに、俺はにやにやと笑う。意地が悪い?先刻承知。
そんな真っ赤になって言われてもなぁ。全部可愛らしい仙蔵がいけないと思うよ、ほんと。俺がこんな馬鹿ばっかやるのも、こうやって逃げるのも。
まぁそんなこと、言わないけどな。
「ふはは、あばよ!せん…ぞ…う……あ、れ?」
笑いながら屋根瓦を蹴って木に飛び移ろうとして、がく、と崩れ落ちる俺の体。足どころか首から下全体が痺れて立てもしない。
なんとか動く顔を振り向かせれば、そこにはさっきの俺宜しく、意地の悪そうな顔でにやりと笑う仙蔵。
「ふふ、名前、悪戯が過ぎたようだな」
可愛いあの子はどうやらとんだ策士だったようです……いや、どういうことよ。待て次回?次回本当に出るんだろうな?ちょ、俺このまま?
……え、まじで?
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