うそつき | ナノ


放置:そのままにして放っておくこと。



天女とやらが降ってきても、学園が様変わりしても、一部の目がギラギラ荒んでも、私の毎日は変わりませんでした。おばちゃんの美味しいご飯食って、座学や実技を学んで、数少ない友達と遊んで。毎日充実していて、天女とか気にする暇もありません。


その日もいつも通り、朝起きて布団を畳んで着替えて顔を洗ってご飯。卵焼き派なのですが甘いのは邪道です。塩もそんなに好きじゃない。出汁、これに限ります。
朝飯の後は授業を受けてなんだかんだと時間が進み、放課後は特に仕事のない委員会をこなしてさあ何をしようという段になって


「大好きです!」


あら?あらあらあら。
友人の○がまさかの告白を受けている…と思いきや、まさかの天女教勧誘でした。
しかも相手はアイツがずっと片想いしてた後輩君です。○は内緒にしてたみたいだけど、私ともう一人の友人にはお見通しでした。接点を作ってやろうと後輩君の委員会の一年をわざとゴロツキのいる道に誘導したりそこに何も知らない○を投入したりもしたのですが、奴ってば草食系なので「助けてやったんだから仲を取り持て」ぐらい言えばいいのに名前も告げず颯爽と立ち去ってしまいました。どこの正義の味方でしょう。イラッとしてその後タコ殴りにしたのもいい思い出です。
その内また偶然を装って接点を作ってやろうとしていたのですが…この発想はありませんでした。


今度うどんでも奢ってやろうかしらん、と考えている内にあの子は去り、○はその場に蹲って泣き出しました。接点が出来た瞬間に失恋した○はかねてから思っていたのですが何か憑いているのではないでしょうか。
死んだ魚の様な目と何か企んでいるような笑み、少ない口数で誤解されがちですが、○は泣き虫で優しい奴なのです。ただなんとも間が悪いので、他人の所業や一人歩きした噂が『荒くれ者』などという奴に似合わない二つ名を呼び寄せたのでしょう。噂の幾つかの犯人としては申し訳ないことしきりです。そう考えると奴に憑いているのは私なのかもしれません。
乱暴者ですぐ手が出る私と普通に過ごしてくれる人間は、奴ともう一人の友人のみ。そんな貴重な人間が泣いているのを見て、私はそっとその場を立ち去りました。


こんな面白いこと、彼に言わずにはおれません。


…え?○?あの場にいた例の一年生が回収してくれるんじゃないでしょうか。今なら弱ってるからパクッといけますよ。ファイト一年。


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友人の不運を目撃した脇役


2011/07/22 23:17





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