[ 阿波くん放浪記 ] |
■2011/5/26 薄暗い通路に、ヨシノ達の忍ばせた足音が小さく響く。 一定の感覚で設置されている仄かな灯りのおかげで真っ暗ではないが、その分自分達の影が緩く動き回って妙な怖さを演出していた。 しかもこのダンジョンに限っては、墓土の臭いが充満しているし、それどころか墓そのものが所々にあるし、更にはその墓の“中身”とまでご対面する始末…連日続くホラー・パークな展開に、怖い話が苦手なヨシノは少々うんざりしていた。 (右を見てもスケルトン、左を見てもスケルトン…うう、なんだよこの骨祭…) つい先程も突然襲ってきたスケルトン相手に、一仕事終えたところだ。 ヨシノは使い込んで壊れかけの弓を抱え直したところで、指先の火傷を見つけて溜め息を吐いた。単位集めの為に暫く潜っているからか、火傷するのにもすっかり慣れてしまったようだ。 「ダイチー。お薬ちょーだい」 「残り少ない。それくらいなら舐めて治せ」 「…くすん。薬師が冷たい」 「唐辛子ならどこかに…」 「スミマセンデシタ」 狐の面を付けたダイチに切って捨てられると、ヨシノは「ちぇっ」と舌を鳴らし、ポケットから布の切れ端を取り出して指に巻いた。 服飾が苦手なヨシノは、よく裁断に失敗しては無駄な布を量産している。それが役に立った今、喜ぶべきか…複雑な心境だ。 ヨシノが微妙な顔をしていると、一連の動作をじっと見ていたモガミがふと、何かに気づいたように通路の奥を見た。それを見たヨシノ、ダイチ共に反射的に身構える。 延々と続く闇と灯りの世界。暫くの後、静寂の合間を縫って聞こえてきたのは小さな足音だった。 明らかに一人分の足音、それも質量を伴った人間のものだと判断して、一行は緩く肩の力を抜く。 しかし誰一人として構えた武器は下ろさない。いつ、何が起こるか分からない…それがダンジョンだからだ。 - - - - 発掘出来たのはここまで。 信じられるか…これガチで名前以外変えてないんだぜ…? しかし懐かしいなぁ… |