うれゐや

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【献上品・企画参加】 | ナノ




最近のことだ。
江戸城に国盗りだと乗り込んだ馬鹿がいた。

銀髪の跳ね返った髪をした一人の侍と、
眼鏡をかけた少年と、
幼いながらも戦闘民族夜兎の力を秘めた少女と、
そして、吉原の番人・百華の統領を務める金髪の女。

彼らは互いの指に、
互いの髪を巻きつけて戦った。

それぞれを信じて、
それぞれの持ち場を、
それぞれの背を預けて護り抜いた。

土方十四郎もその場にいた。
少年と少女と同じく屋外に居たが、顛末は見届けた。


ぼろぼろになって約束を護り抜く侍を女は何度も呼んでいた。
銀時、銀時と何度も。
ぬしは馬鹿じゃと罵りながらもその身を案じて。

「銀さん」
「銀ちゃん」
彼を慕う万事屋の子どもたちも駆け寄った。

互いの顔と同じように指に髪に微笑み、一つの輪が出来ていた。

まるで家族の様な光景だと、
土方は何処か別の次元の、
何処か映画のワンシーンを見ているような心持でその様子を遠目でみていた。

自分はそこに入ることが出来ないと。
別の世界のようだと。
覚悟していた「いつか」が来たのだと。


土方十四郎は己が預かる真選組に指示を出しながら、凍えた心の片隅で感じていたのだ。

「」

一度として呼んだことのない名を音を出さずに呟きかけて、
そうして、止めた。




『結ぼる 壱』 了





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