うれゐや

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12/07(Sun):SSS『いい風呂の日…?』原作11/26




11/26 いい風呂の日。

風呂の日…なんだけれど、「いい風呂」なのかは不明の原作設定の二人…
リハビリリハビリ…の30〜40分クオリティ…




ちゃぷんと天井から水滴が落ちて、湯船に水紋を作る。

「そういやさ…」
「あ?」

風呂のふちに掛けた腕に頭を乗せて、シャンプーをし終え、ぶるりと顔の水分を両手で拭った男に疑問を投げかける。

「また、おめェ、背中の傷、増えてねぇ?」
「そうか?」
「ほれ、その左脇、銃創か?もうずいぶん引っ付いてるけど、最近だろ?」
「これか?この間の捕り物の時に近藤さんが…」

手を伸ばし、指でつんつんと示す。
前回、肌を合わせた時にはなかった傷。

「ゴリラ?」
「近藤さんはゴリラじゃねぇ。
 ライフルが狙われてんの気が付くのが遅れてよ」
「そっちは?」
「あー…これも確か近藤さんを…」
「もういいわ」

親友であり、大将であり、恩人でもある近藤に土方は剣を捧げている。
けして、褒められた道を歩んで来たとは銀時も言えない。
誰かの一人の手を取る気すら、それ以前に、その資格すらないと思って生きてきた。
土方の生き方はある意味、眩しく、ある意味、銀時に絶望を思い出させる。

それでも、望んでしまわずにはいられなかった男は、銀時に護らせもしなければ、銀時を護りもしない。
そんな土方だから、銀時は求めた。
そんな銀時だから、土方も求めた。

知ってはいても、分ってはいても、欲というものは果てないものだと銀時は心の中で笑う。

「んだ?」
「どっかの剣豪みてぇに、背中の傷はーとか言っちゃわねぇんだな。おめェは、って思ってよ」
「まぁ…喧嘩に夢中になりゃ、近藤さんほっぽり出して走ることもあるけどな。基本的に俺は近藤さんの…」
「だから、もういいって」

知ってると勢いよく、銀時は湯船から立ち上がった。

「ほれ、おめェも浸かって」
「あぁ…って、おい!てめェが上がらねぇと入れねェだろうがっ!」
「いけるいける。ほれ、座って座って」

銀時と入れ替わりに浸かるのだと思い込んでいたらしい土方を自分の前に立たせてから、肩を押して再び湯船につかる。
勢いよく、湯が零れ落ちて、水蒸気が濃くなった。

万事屋の風呂はけして狭い方ではないが、それでも177pもある成人男性が二人で入ればいっぱいだ。

「っ」

土方を後ろから抱きかかえるような体勢から、先ほど見つけた傷を軽く引っ掻いた。
白い背は均等に筋肉に覆われ、女のような柔らかさはない。
軽く引っ掻いたところで、蚯蚓腫れになることもなく、少し赤みを帯びただけだ。
風呂を上がり、一戦交えた後には消えていることだろう。

「くすぐってぇ」

二つ目、三つ目と近藤を庇った傷、護った勲章だと話していたと記憶する傷をなぞれば、足の間で土方は身を捩る。

「くすぐってんだから、くすぐってぇに決まってんだろ?」

ばしゃりと湯が銀時の顔にかけられた。

「馬鹿が」

振り返った顔には仕方ねぇ奴と書いてあった。
銀時は、土方が気が付いていることには気が付かないふりをして。
土方は、銀時が望むこと自体に迷いを持ち続けていることには気が付かないふりをして。

ばしゃりと今度は土方に湯をかけ返したのだ。



『11/26』 いい風呂の日?


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