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※隣のマッドサイエンティスト番外編
※名前はデフォルトのままです


【愛の言葉をなぞる】スケルトン


 ある程度の英語が読めるようになり、僕は辞書を片手にノーディアから貰った小説を読み耽っていた。小説はテキスト違って物語な為、退屈しない。それどころかもっと先まで読みたいと思ってしまうほどで。読書は僕の中で完全に趣味となっていた。必ず読む時間帯は、朝の食休み中と三時の作業休憩中。後は就寝前である。そして今は三時の休憩中なのだが。僕と同じように本(彼女の場合は何かの文献のようだが)を読んでいた筈のノーディアが、突然僕の背後に立った。背後を取られるとゾッとして集中できない為、やめてほしいのだが。

「あぁ、駄目駄目。ちゃんと本に集中していて」
「そんなことを言われたってね……」

反抗しつつも、彼女に言われるままに本を読み進める。

「スケさんがどれだけ文字を覚えたか、テストしてあげる」
「どういうこ……ヒッ!?」

僕が問う前に、彼女は行動を起こした。僕の背中を指でなぞりはじめたのだ。全身が粟立つような感覚に耐え、彼女の方を振り向く。それが面白かったのだろうか、彼女はケタケタと笑うと僕の頭を元の方に向くよう戻した。

「駄目よ、こっち向いちゃ。それで、なんて書いたか分かった?」
「……は?」
「貴方の背中に指で文字を書いたのよ」
「いや、そんなの言ってくれなきゃ分かるわけがなっ!?」

指を背中にツンと突きたてられ、またしても声が詰まってしまう。

「ふふ、擽ったいんだ?知らなかったわ。スケさんって背中が弱かったのね」
「いいからやめろ」
「当てられるまでやめないわ」

僕の反応を見てクスクスと含み笑いしつつも、彼女はやめようとせず。そのまま僕の背中に指を滑らせる。仕方ない。早くやめさせるためには当てるしかないか。彼女の指は僕のうなじの下から腰まで大きく一本の縦線を描く。

「1、もしくはIか……?」
「ふふふ」

手の平で一度背中を撫でられる。恐らくリセットという意味だろう。そして彼女は次に先程と同じ様に縦線を引くと、途中で右に向かって線を伸ばした。

「L?」
「えぇ」

今の所合っているらしい。次は背中全体に丸を描く。これは分かりやすい。Oだ。I LO……。そこまで理解して、僕はまさかと次のアルファベットを予想し顔を覆った。

「もしかして、次はVだったりする……?」

彼女は何も答えてくれなかった。代わりに後ろから僕を抱き締めてきて、身体に腕を回される。そして彼女は僕の右手をそっと取ると、僕の耳元で楽しげに笑い、そのまま今度は手の平に指先を這わせた。ほぼゼロ距離で聞こえてくる彼女の声に、背中をなぞられた時よりもゾクリとした何かが体を駆け抜ける。彼女はそんな僕の耳に軽く口づけ、僕の手の平に続くアルファベットを次々と書き始めた。

「I lost beef……。は?」
「今日の夕食に出すつもりだった牛肉、全部ボギーに食べられちゃった」

……僕は君を絶対に許さない。今度は僕が彼女の背中にそう書く番だ。



→【スケルトン夢】






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