彼女と会うのは久し振りであった。高校までは毎日顔を合わせていたし話したりもしていた。オレが少しだけ思春期だった頃も、変わらず彼女はオレに話しかけてきていた。大学進学が決まり、モデルの仕事も益々楽しくなってきて、これを機にと、一人暮らしをすることに決めた。地元から少し離れた場所に一人。今まで当たり前だった彼女の存在は当たり前じゃなくなり、連絡もたまに取り合うくらいになってしまった。月日は流れていって、彼女と交わしていた“会おうよ”が実現することとなった。

「久し振り!元気だった?」
「元気っスよ。そっちも元気そうっスね」
「まあね。その話し方も相変わらずね」

選んだカフェに彼女は嬉々としていた。このカフェは知らなかったわとティーカップをうっとりと眺めて言う。とても気に入ってくれたようだ。オレたち以外の客もゆったりと自分たちの世界に浸っているため、サングラスを外してティーカップに口をつける。いつの間にかオレを見つめていた彼女は相変わらずね、と言う。多分、オレの格好付けと自信とセンスに。あんたも相変わらずっスよ、色々と。その、オレといても自信たっぷりなところや、自分の魅せ方を理解しているところとか。

「…その指輪どうしたんスか」
「あ、これ?ダサいでしょ」

そう言って笑い、恥ずかしそうに、しかし大切そうにそれを撫でた。彼女は自分に似合わないそれを愛していたのだった。あの人からっスか、そう言うとまた照れ笑いを浮かべた。ああ、あの自信だらけの顔はどこにいったんスかね。

「ダサい。でも今はお似合いっスよ」
「なにそれどういう意味!」

地味でセンスがなくて、でも全てを包み込むような優しさと器量の持ち主。センスのある彼女が選んだ男。でも、きっと素晴らしい選択なのだろう。



「結婚おめでと、姉ちゃん」
「ありがとう、涼太」




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